火曜日の幻想譚
46.アルゼンチンカーニバルストラップサイドステップコガネムシ
体長約1.3〜1.7cm。冬は幼虫として土中で過ごし、春から秋に地上に出現する。体色は主に黄土色だが、まれに茶褐色のものも見られる。葉食性でゴムの木の葉を特に好む。名前の通り最初にアルゼンチンで発見されたが、亜熱帯地域であれば生息できるため、近年外来種としてさまざまな国で見かけられる。
主な特徴として、名前の由来でもあるストラップのような輪状のひもが首に生えており、その輪は成虫で円周8〜12cmにまで及ぶ。さらに、輪はほぼ必ず左側に寄せられているため、個体が数体集まるとまるで祭りの日にストラップを売る露天商のようだということで、カーニバルストラップの名がついた。この輪は、メスよりオスの方がやや大きい傾向がある。だが、天敵である鳥のくちばしにくわえられたり、枝などに引っかかったりするなどデメリットが多く、求愛行動などに用いている様子もないため、どのような理由で首から生えているのかいまだに判明していない。現在挙げられている説としては、この輪の中にときおり小さいクモが巣を張ることがあり、そのクモと何らかの形で共生を図っているのではないかというものがある。
もう一つの特徴として、これも名前の由来通りダンスのようなサイドステップを踏んで歩行することがあげられる。こちらは、単体ではほとんど行わず、群れを成している際に行われることが多いため、複数体で規則正しい動きを行うことで、より大きい個体に見せようという意図で行っている公算が大きい。
また亜種として、アルゼンチンカーニバルストラップサイドステップヒメコガネムシと、アルゼンチンカーニバルストラップサイドステップオオコガネムシの二種がいるが、どちらも交雑が進んでおり、絶滅の可能性が危惧されている。