火曜日の幻想譚
55.婿探し
叔父さんたっての希望でさ、娘の婚約者を募集するっていうんだよ。
へえ、今時お婿さんを募集するなんて珍しいね。
うん、まあ訳があって、これが娘さんの写真なんだけど。
おお! めちゃくちゃ可愛いじゃん。いくつ?
17だったかな。高校生のはずだよ。
え、まじで? こんな可愛いJKと結婚させてくれんの?
ああ、そういうことになるね。
……でも、そんなうまい話あるわけないよな、きっと男遊びが激しいとかだろ?
いや、叔父さん厳しい人だし、多分生娘なんじゃないかな。
じゃあ、ものすごく性格悪いとか?
いい子いい子、無口で物静かではあるけど、ね。
そんなJKなら、きっと応募も殺到しているだろうね。
それがさ、一件もないんだよ。
まじで? 世の男ども何してんの? 俺、立候補しちゃうよ。
ほんとに? こっちも助かるよ。
いやいや。こちらこそ、ごちそう様。
あ、ただ一個だけ条件があるんだよ。
そう来ると思った。でも一個で最高のJKが嫁ならお釣りがくるわな。
うちの家系、変な風習があってさ。若くして死んだ女子は、あの世へ連れ添う夫を決めてから葬儀をする決まりになってるんだ。
へ?
だから結婚式の後、すぐさま葬式に取り掛かって、夫婦で一つのお棺に入るわけ。でもって、うちは未だに土葬だから、そのまんまお墓に埋められるのよ。
ちょっ、え? じゃあ、この娘はもうすでに死んでて、俺も殺されるってこと?
そうなるね。この娘も長いことお婿さん決まらなかったから、もう腐乱しちゃってるし。
…………。
それじゃ、JKとお棺の中で楽しい初夜を過ごしてね。