火曜日の幻想譚
19.惨劇の日
ああ、ついにこの日がやってきてしまった。なぜ、僕はこんな時期にここにいるんだろう。
人の良さそうなお婆ちゃんに、僕は濡れた体を軽く拭かれて寝かせられる。隣にも、同じ境遇の女の子が、プルンプルンの肢体を惜しげもなく晒して横になっている。
しばらくして僕らは、おもむろに背中に針を突き刺される。激痛にのた打ち回りながら、僕と彼女のは思わず体を触れ合わせる。僕らの苦痛を他所に、綺麗な女の人たちがかわるがわる僕らに針を突き刺していく。ブスリブスリと、容赦なく幾本もの針が突き立てられる。
「ひどいよ! どうしてこんなことをするの?」
隣の子が泣き叫ぶ。
「仕方がないんだ、彼女たちにも事情があるから……」
諦めきった僕がつぶやく。
「でも、だからってこれはあんまりじゃない!
噛み砕かれて、煮て、焼かれて、そしてこんなに突き刺されて!
私たち、いつだって散々な目に遭ってるじゃない!」
「……」
僕は彼女に何も言えなかった。想像を絶する激痛の中で気を失っていたから。
「お豆腐、もうハリネズミみたいになっちゃったね」
「ほら、こんにゃくはまだ空いてるから。突き刺しちゃって」
年に一度の針供養の日は、まだまだ続いていく……。