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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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魔導士ルーファス(2)

INDEX|94ページ/104ページ|

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 さらに途中の廊下に巨漢が立っていた。
「見つけたぞルーファス!!」
 カーシャだった。ついに痺れを切らせて教室を出たらしい。でもルーファスの目には入らなかった。
 さらに途中の廊下でビビと遭遇。
「ルーちゃん捜したん……だ……待ってよ!」
 やっぱり目に入らず駆け抜けていく。
 そんなことをしているうちに奇妙な行列が廊下を駆け抜けるという光景になった。
 王様を追いかける女体化メガネっ子を追いかけるメガネ男子ルシ。さらにルーファスを追ってくる筋肉魔神とピンクのツインテール。混沌としている。
「クラウス待って! 私の愛を受け止めてぇ〜!」
 もうルーファスは帰ってこられない。
「妾の筋肉を見よォォォォッ!」
 こっちは常人が達しない場所にイッてしまった。
 ルーファスは揺れる胸を苦しげに押さえた。
「(重たくて走れない……でも負けられない!)」
 いったいおまえはなにと戦ってるんだ?
 速度を落としたルーファスにルシが距離を縮めてくる。
「捕まえた!」
 ルシの手がルーファスの袖を掴んだ。
「俺は君のことが好きなんだ、だから逃げないでくれ!」
 そこへどこからどもなくふあふあっと空色ドレスが現われた。そして、無言で持っていたバケツの中身をぶちまけたのだ。
 バシャァァァッ!
 緑色のドロドロヘドロのような液体を頭から被ったルーファス。と、そのついでに被害者になったルシ。
「いきなりなにをするんだ!」
 声をあげたルシは、すぐさまルーファスを気遣った。
「大丈夫だったかい? また汚れてしまったね」
 指先で優しくルーファスの顔についたヘドロを拭っていたときだった。
 異変だ。
 ルシは微妙な異変に気づいた。
「(ん……顔つきが……)」
 顔から丸みがなくなり、骨格が浮き出ていく。
 大きく服を突き上げていた胸の膨らみも萎んでいく。
「ローゼンクロイツひどいじゃないか!」
 と張り上げた声も低めで男らしかった。
 ――男だ。
 ルーファスは男に戻っていた。
 目の前で起きた出来事にルシは放心状態だった。
「ウソ……だろ……」
 ローゼンクロイツはもう片手に持っていたバケツの中身を筋肉バカにぶちまけた。
 バシャァァァッ!
「妾の筋肉を……ハッ、妾はいったい?」
 女に戻った瞬間、正気に返ったようだ。
 ニッコリのビビちゃん。
「よかったねルーちゃん男に戻れて!」
「そ、そうだね……」
 苦い顔をしてルーファスは小さく答えた。
 壁に片手をついて憔悴しているクラウス。
 廊下に両手両膝をついて項垂れるルシ。
 事件の傷は深かった。
 そして――。
「妾のイチゴジュースはまだか!」
「あ、アタシのも」
 パシリにされるルーファス。身体も元に戻り、すぐに日常も戻ってきた。
「(女の子のほうが優しくされる気がする)」
 心に思うルーファスの視線の先には、空色ドレスの男の子がマイペースに歩いていた。

 第18話_トランスラヴ おしまい