魔導士ルーファス(2)
「よかった。魔法防御で電撃も衝撃変換されるかと思ったけど、なんか平気だったみたいだね(鎧を通した間接攻撃だからかな? それとも魔法防御は物理のみ有効?)」
ナイトは立ったまま動かない。甲冑が重いので倒れもしないが、たぶん気絶しているだろう。
ルーファス勝利!
しかも今度は運ではなく、作戦よる実力での勝利だ!
まあ、ロッドを手に入れたのは運だったけど。
さっそくビビはナイトからシールを奪おうとした。
「あうっ!」
甲冑に触れたビビがすぐに手を離した。
すぐにルーファスが駆け寄る。
「ダメだよ、しばらく放電させないと」
そう言いながらルーファスは靴を脱いで手にはめた。不導体で絶縁しながら甲冑に触れるためだ。
顔を赤らめたセツが心をときめかせる。
「惚れ直しそう(嗚呼、やっぱりルーファス様って、やるときはやってくれる!)」
ルーファスの横でビビがはしゃいでいた。
「ルーちゃんすご〜い、頭イイんだね!」
「常識の活用だからたいしたことないよ」
謙遜するルーファスを見て、セツの心はさらにヒートアップ!
「あぁン、好き……大好き(はぁと)」
だが、次の瞬間にはセツは溜息をもらしていた。
悪戦苦闘するルーファスに姿。靴では甲冑に張られたシールがうまく剥がせない。そりゃそーだ。
それでもやっとの思いでシールを剥がし、さらに甲冑を脱がせてほかのシールもないか探した。
トランクス1枚になった男を見てビビがクスッと笑った。
「ガリガリじゃ〜ん!」
ナイトの中身は骨皮だけしかないような痩せた男だった。こんな男じゃ重鎧で動けるわけがない。
そして隈無く探した結果、獲得したシールは2枚だった。
ビビちゃんはちょっとご立腹。
「ええ〜っ、2枚しかないのぉ〜」
3人では割れない数字だ。1枚は功労者のルーファスがもらうとして、残り1枚が問題だ。
力強くセツが前に出た。
「これはわたくしがもらうべきでしょう。なぜなら、ビビよりもすでに多く獲得しているということは、それだけ予選通過の可能性があるということです。もっと言わせてもらえば、ビビが持っている分もわたくしに渡すべきです」
「はぁ〜〜〜っ、なに言っちゃってんの!? ズルイズルイーっ、これからアタシが巻き返すかもしれないじゃん!」
こんなところで仲間同士のケンカをしている場合じゃない。
すぐにルーファスが割って入った。
「ちょっと待った、今全員が持ってる分を均等に分けようよ。まだ時間はあるんだし、全員分が集まらなかったら、そのときに調整すればいいし、ひとりが負けて奪われたときの損失も考えてさ、ね?」
「ルーファス様がそうおっしゃるなら」
あっさりセツが承諾。
全部で17枚。また3で割れないが、余りはルーファスが持つと言うことで話がついた。
ルーファス→7枚→7枚
セツ→5枚→5枚
ビビ→3枚→5枚
結局、今手に入れた2枚がビビの元へ。セツは配分してから、納得してないような顔をしているが、ルーファス様の決めたことだ、口に文句は出せない。
ここまで健闘を見せる3人。とくにルーファスは大穴だろう。
そして、4人目がいる。
作品名:魔導士ルーファス(2) 作家名:秋月あきら(秋月瑛)