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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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魔導士ルーファス(2)

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鉄扇公主はラブハリケーン4


 ネコミミ&ねこしっぽのローゼンクロイツ見参!
「ふあふあ〜」
 寝惚け眼[まなこ]のローゼンクロイツから、大量のねこしゃんが噴出した。
 出たッ! ねこしゃん大行進だ!
 目を開けたままセツ気絶。
 身動き一つしなくなってしまったセツだが、なにやら様子がおかしいぞ?
 セツの体からゆらゆらと煙が立ちのぼり、やがてそれはモクモクと巨大な煙の塊になった。
 巨人だ。
 おそらくは思念体かなにかだろう。
 トラ柄のビキニを着た頭に角が生えた巨大なねーちゃんが出現したのだッ!
 カーシャが見上げながらボソッと。
「鬼だな」
 そう言って、何食わぬ顔でこの場から立ち去ろうとしたのだが、巨大な鉄扇が地面に突き立てられ壁をつくった。
「逃がすか!」
 鬼女はカーシャとやり合うつもりだ。
 振り返り様にカーシャは強烈な吹雪を放つ。
「ブリザード!」
 巨大な鉄扇で鬼女は吹雪を防いだ。
 なぜが笑うカーシャ。
「ふむ、実態はあるようだな」
 セツの体から現れた思念体は、霧のようなものではなく、形あるものということだ。その証拠にカーシャの吹雪を防いでいる。
「ならば凍らせるのみ!」
 マナフレアがカーシャの周りに集まる。
 だが!
 ド〜ン!
 この場にはローゼンクロイツもいるのだ。
 カーシャはねこしゃん爆弾の直撃を食らって、ボロボロになりながら地面でへばった。
 イッちゃってるときのローゼンクロイツは無差別攻撃。むしろ攻撃っていう概念ですらないかもしれない。
 そう、今のローゼンクロイツはフリーダムなのだ!
 巻き起こる爆風。
 鬼女もねこしゃん爆弾の総攻撃を食らっていた。
「おんどりゃ、皆殺しにしたる!」
 巨大な鉄扇を振りかざす鬼女。カーシャに視線を向けた。
 が、そこにいたハズのカーシャが、ピンクのウサギのぬいぐるみになっていた。
 ……逃げたのだ。
「皆殺しじゃ皆殺しじゃ!」
 鬼女は怒りで本当に燃え上がって炎に包まれていた。

「……付き合ってられん(が、そのうち復讐してやるから待ってろよ、ふふっ)」
 ボロボロになりながらも、何食わぬ顔でスタスタと歩くカーシャ。
 前方からルーファスがやって来た。
「あっ、カーシャ! どうしたのその格好?」
「クリスちゃんとお前の許嫁にやられたのだ。両方ともお前の関係者なのだから、さっさとカタをつけて来い」
「は? なんで僕が?」
「いいから逝ってこーい!」
 カーシャのスクリューアッパーがルーファスに決まった。
 竹とんぼのように、グルグル回転しながら遥か空にぶっ飛ばされたルーファス。
 そのままルーファスは地面に激突。
「うう……(ひどいよカーシャ)」
 ヒドイのはいつものことです。
 床にへばりながらルーファスが顔を上げると、そこには巨大な影が2つ。
「……なにこの妖怪大戦争」
 ルーファスは見なかったことにして、気絶しているフリをして顔を伏せた。
 巨大な2つの影。
 1つは鬼女なのだが、もうひとつは空色の影。
 巨大化したローゼンクロイツ現る!
 おそらく本人が巨大化するわけがないので、魔力を練ってつくった氣の塊かなにかだろう。
 現状を確かめようと、ルーファスがそ〜っと顔を上げようとしたとき、突然目の前に飛び込んできた立て看板!
 ゴフッ!
 工事中の看板に攻撃された。
「この変態、ローゼン様のパンツを見ようなんて1万年早いですよ!」
 この声はユーリだ。
 再び顔を上げようとしたルーファスだったが、後頭部を鷲掴みにされて地面に叩きつけられた。
「うぐっ……痛い」
「そんなにパンツが見たいんですか変態!」
「違うよ! 顔を上げようとしただけじゃないか、それに男のパンツなんか見て何になるんだよ!」
「女のパンツだったら見たいってことじゃないですか、この変態!」
「うぐっ!」
 再びルーファスは後頭部をグッと押された。
 巨大化しているローゼンクロイツ。つまり真下に潜り込めば、パンツが見放題と言うことだ。
 で、ユーリちゃんはここに何しに来たの?
「ちょっと眼を離した隙にローゼン様を見失ってしまって。でもこうやってスカートの中が覗けるなんてツイてる!(嗚呼、お兄様……ユーリはしかとローゼン様のパンツを目に焼き付けると誓います、どうか見守っていてください)」
 って、パンツ目当てじゃないか!
 ユーリは勢いよく顔を上げた。
「…………」
 ユーリ硬直。
 そ〜っとルーファスも顔を上げた。
 なんてことはない、スカートの中身はズロースだった。
 ズロースとは、つまりいわゆるカボチャパンツの下着版のようなものである。
「こんな物、ぜんぜんエロくもなんともないじゃないですかーっ! ぐわーん!(ううっ、お兄様……世の中って無情なのですね。でもアタシはめげません!)」
 ショックを受けたユーリは、両膝をついてその場から動こうとしない。
 さっさとルーファスは逃げることにした。
 サササッ、ササササッ、虫のようにルーファスは地面を這って逃げようとした。
 が、途中で鬼女と目が合った。
「お主、セツの婿殿じゃな?」
「違います、違いです。こう見えても妻子持ちの、子供なんて3人いますから。長男は今年幼稚園に入学したばかりでして……」
 ウソすぎる!
 鬼女は憤怒した。
「おんどれ、見え透いた嘘で逃げようとしおって!」
 巨大な手が伸び、ルーファスの体を軽々と掴んで持ち上げた。
 すっぽりと鬼女の手に収まってしまっているルーファス。比較対象があると、いかに鬼女が巨大なのかわかる。そして、目の前のローゼンクロイツも。
 ブゥゥゥンッ!
 ローゼンクロイツのしっぽが振られた。
 電流を帯びた伸縮自在のしっぽ――しっぽふにふにが繰り出された。
 ねこしゃん大行進もヒドイが、このしっぽふにふにも負けず劣らず無差別攻撃だ。
 しかも、最悪なことに今のローゼンクロイツは巨大化している。
 ズザザザザザザァァァッ!
 近隣の建物が無残なまでに薙ぎ払われた。
 このまで強大すぎる力はもはや神。今やローゼンクロイツは破壊神なのだ!
 ローゼンクロイツが破壊神なら、こっちは鬼神だ。
「物騒なもん振り回すなアホ!」
 鬼女は巨大な鉄扇をひと扇ぎした。
 ふあふあっとローゼンクロイツは竜巻をかわした。
 ブォォオォォォォッッッ!
 巨大竜巻は近隣の建物を巻き上げて、晴れときどき瓦礫の山を降らせた。
 顔面蒼白のルーファス。
「最悪だ」
 このままでが王都アステアが一夜にして滅びる。
 あしたの朝には死の荒野。地図の書き換えが必用になってしまう。
 近隣住民の避難、遠くから見えてくる軍隊。魔剣連隊を引き連れるエルザの姿を見えた。
「王都と脅かす化け物め、成敗してくれるわ!」
 エルザが切っ先を向けたのは鬼女だけ。
「(見えない見えない、私にはローゼンクロイツなんて見えないぞ)」
 現実逃避の真っ最中だった。
 一斉砲撃!
 飛んでくる砲弾をもろともせず、鬼女は鉄扇をひと扇ぎしてすべて送り返した。
 魔剣連隊は一斉に防御魔法で壁をつくり砲弾を防いだ。
 防御魔法が解かれ、エルザは冷や汗を拭った。
「危なかった……ッ!?」
 砲弾を防いだのも束の間、巨大なしっぽが連隊を薙ぎ払った。