小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

魔導士ルーファス(2)

INDEX|29ページ/104ページ|

次のページ前のページ
 

パンツに願いを3


 とりあえずカーシャから逃れられたが、これからどーしたものかと迷うルーファス。
「やっぱり妖精探したほうがいいのかなぁ」
 追試不合格。プラス悪魔の契約書発動。
「カーシャにバレないようにすれば……バレてもお菓子とか差し入れれば」
 ぶつくさ呟きながら歩いていると、廊下の向こうからぷかぷかと人影が飛んできた。
 ララだ!
 後ろから追ってくる生徒たちはいない。
 ルーファスにチャンス到来だ!
「お、お尻触らせてください!」
 頭を下げて懸命に頼むルーファス。
 どう見ても変態です。
 ララはルーファスを完全に見下していた。
「キモイ〜」
「お願いします、お願いします!」
「触りたいなら触れば〜?」
「ホントにいいの!?」
「痴漢で訴えるけど」
「…………」
 ダメじゃん!
 余裕でララはその場からぷかぷか飛んでいく。
「ばっかじゃないの、きゃははは」
 ルーファスを小馬鹿にしてララは消えてしまった。
 床に両手両膝をついてルーファスショック。
「触れなかった……」
 こんな調子じゃ、ルーファスはいつまで経っても触れないだろう。
 ルーファスよ、変態になるのだ!
 女の子に襲い掛かってお尻を触る変態になるのだ!
 心を変態にして挑まなければ、この難局は乗り切れないぞルーファス!
 変態に目覚めるのだ!
 ルーファスはイメージトレーニングを試みた。
 スカートの中に手を突っ込んで、その先のいちごパンツを触る!
 ブホワッ!
 鼻血が噴き出た。
 イメトレだけで鼻血を噴き出すとは、どんだけ耐性がないんだルーファス。
 情けないぞルーファス。
「……思い出しちゃった(ビビのお尻の感触がまだ手に残ってる気がする)」
 ララのお尻を触るイメトレをしていたのに、いつの間にかビビのお尻の感触を思い出してしまったのだ。
 そこへ丁度やって来た桃髪のツインテールをフリフリさせる少女。
「ルーちゃ〜ん!」
「ぶはっ!」
 ルーファスは噴き出しそうになった鼻血を堪えようと、鼻を押さえた。
「だいじょぶルーちゃん? 鼻から血が出てるよっ!?」
「あ……だ、大丈夫だよ、ちょっと壁に顔面ぶつけちゃって」
「ルーちゃんったらドジだなぁ」
「あははー(本当に理由は絶対言えない)」
 愛想笑いをするルーファスにはあまり余裕がなかった。
 ビビの顔を見るとある方程式が頭に浮かんでしまうのだ。
 ビビ=お尻の感触
 頭から振り払おうとすればするほど逆効果。
 ぷにぷにっとしたお尻の感触が思い出されてしまう。
 悶々とするルーファスにビビが不思議そうな顔を向けた。
「どうしたのルーちゃん?」
「えっ、なに、お尻がどうしたって?」
「はぁ?」
「ご、ごめん、お尻のことで頭がいっぱいで。じゃなくて、妖精のお尻を触って追試合格しなきゃいけないことで、頭がいっぱいなんだ!」
 ルーファスの頭の中はお尻のことでいっぱいです。
 ツーッとルーファスの鼻から鼻血が垂れた。
「ルーちゃん、また鼻から血が出てるよ?」
「だ、大丈夫だから!」
「ティッシュあげるね」
 ビビはポケットティッシュを出して、容赦なくルーファスの鼻にぶっ込んだ。
 ブスッ!
「ぐほっ!」
「ごめんねルーちゃん!」
「だ、大丈夫だよ……ありがとう(ビビって見た目は少女なんだけど、人間よりも力があるんだよね)」
 悪気がないところも、仔悪魔として大事な要素です。
 わざとやっていても、それはそれで仔悪魔っぽいです。
 鼻血も落ち着いてきて、ルーファスは気を取り直そうとした。
「ところでビビ、もうどっちかの妖精の……その……アレに触れた?」
 口に出してしまうと、また頭を過ぎってしまうので、本人的には伏せたのだが、逆にアレとかいうほうが健全じゃない。
「ぜんぜんだめ、見失っちゃうし、だれかもう願い事叶えてもらったひといるのかなぁ?」
「願い事を1つ叶えると、すぐに姿を消しちゃうらしいよ。今さっき女の子のほうの妖精を見たから、まだだれも叶えてもらってないと思うけど」
「そうなんだ、なら早く見つけなきゃ!」
「ところでビビはどんなお願いするの?」
「えっ!?」
 ビビはひどく驚いて瞳をまん丸にした。
 すぐにビビは取り乱した様子で口を開いた。
「べ、べつに大したお願いじゃないんだから!」
「だからどんなお願い?」
「本当に大したお願いじゃないから、本当なんだから!」
「なにムキになってるの?」
「ムキなんかなってない!」
「(ムキになってると思うけど)大したお願いじゃないなら、ビビも私の追試が合格できるようにお願いしてくれないかな?」
「それは……」
「そうだよね、みんな自分のお願いをしたいよね。自力でがんばるよ」
「……ルーちゃん」
 なんだか哀しそうな顔をするビビ。
 どうしてそんな顔をされるのかルーファスはまったくわからなかった。
「どうしたの?」
「なんでもないよ! じゃあルーちゃんとあたしライバルだね。早い者勝ちだからね、恨みっこなしだよ?」
「わかってるよ」
「うん、よかった♪」
 哀しい顔から一変して元気な笑顔。
 ビビの表情の変化を見ながらルーファスは余計に首を傾げた。
 ドドドドドドド!
 廊下に響き渡る地鳴り。
 来る!
 逃げるリリが大群を引き連れてやって来る。
 なんだか生徒の数がどんどん増えているような気がする。
 ここでボーッとしていたら、また生徒たちに踏みつぶされてしまう。
 ビビが俄然ヤル気で群れの中に飛び込もうとしているが、ルーファスが取った行動とは?
 逃げる!
 リリに背を向けて走り出すルーファス。
 思わぬルーファスの行動にビビは目を丸くした。
「ルーちゃんどこ行くの!?」
「そこにいたら押しつぶされちゃうよ!」
 追いかけるべき妖精から逃げる構図になってしまっているルーファス。
 こんなことやってたら、願い事を叶えるとかそりゃ一生無理ですよ。
 ビビがリリに飛び掛かった。
 しかし、リリの後ろからは生徒の大群が押し寄せている。このままではビビが呑み込まれる!
 ひらりとビビを交わすビビ。赤いふんどしがチラリン!
 すぐに生徒たちもリリに飛び掛かり、怒濤の中にビビが呑み込まれそうになった。
「ビビ!」
 ルーファスが叫ぶ。
「きゃっ!」
 大群の中から聞こえてきた少女の叫び声。
 山積みになった生徒たちが土砂のように崩れる。
 ビビはあの山に埋まってしまっている。
 果たしてビビは無事なのか!?
 生徒の山が崩れると、その下からドーム状のバリアが顔を覗かせた。
 ビビだ!
 バリアに守れているビビ。
 そして、バリアの中にはもうひとり、ビビを守った者がいた。
 その者はビビを抱きしめながら顔を見合わせた。
「大丈夫かい?」
「クラウス!? 助けてくれたのありがと!」
「大丈夫なようだね」
 爽やか笑顔を浮かべたクラウス。
 周りから生徒たちがはけると、クラウスはバリアを解いた。
「まったく、節度のある行動を心掛けるようにと校内放送があった筈なんだが……情けないなうちの生徒たちは」
 なんでも願い事が叶う。
 それによって目の色を変えてしまった生徒たち。
 わからなくもないが、廊下でへたる生徒たちを見てリリはあざ笑っていた。