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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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魔導士ルーファス(2)

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「(来月から仕送りしてもらおうかなぁ。でも家出したのに仕送りなんてカッコ悪いし。パパに頼んだら、お金じゃなくて国ごと奪ってやろうなんて言いかねないし。学費のこともあるし、ちょっとだけ、ちょっとだけママに仕送りしてもらおうっと)」
 というわけで、現時点ではこのサングラスを諦めるしかない。
 ルーファスもメガネ選びをしていた。でも見つけたのは双眼鏡。手に取ると店主がすっ飛んできた。
「お客様、素晴らしい商品を手に取りましたねコケッコー」
「この双眼鏡そんなにいいの?」
「もちろんですともコケ。なんとその双眼鏡は他人の視界が見える双眼鏡なのですコケ」
「へぇ〜」
 と、ためしにルーファスが覗いた瞬間、見えてしまった光景は?
 おっぱい!
 銭湯の女湯の光景だった。
「ぶはっ!」
 鼻血ブー!
 こういうことに免疫力のないルーファスだったりした。
「だいじょぶルーちゃん!」
 すぐに床に倒れたルーファスにビビが駆け寄ってきた。べつの場所でメガネを見ていたので、なにが起きたのかさっぱりわからない。
 ルーファスがうわごとつぶやいている。
「ジャングルが……秘境が……小高い山や巨大な山脈が……」
 このヒントから店主は答えを導き出した。
「ジャングル探検隊の視界を見たコケ。それできっとおそろしい魔物に遭遇したコケ」
 ある意味魔物だ。
 いったいルーファスになにが起きたのかビビはまだわからない。
 そこでビビも双眼鏡を覗いてみることにした。
「きゃーーーっ!」
 叫び声をあげたビビ。
 なんとビビが見たものとは……?
「ルーちゃんのえっち痴漢変態!」
 ルーファスの視界(ビビのスカートの中)だった。
 床に倒れていたルーファスから、たまたまビビのスカートの中が見えてしまったらしい。ちなみにピンクに白の水玉だ。
 ここで店主が説明。
「見える視界はランダムですコケ。覗く度にどこかのだれかの視界が見えるコケ」
 ルーファスの視界を当てたのは奇跡だ。
 どうにか秘境から帰還したルーファスだったが、記憶がプッツリ途切れていた。
「あれ、ここどこ?」
 そこからプッツリだった。
 こんな店に新たな客が入ってきた。
「わぁ、こんなところに新しいメガネ屋さんができてたんですね!」
 登場したメガネっ娘[コ]にルーファスは見覚えがあった。
「あっ、ローゼンクロイツのストーカーだ」
 その名もアイン!
 アインの元へ店主がすっ飛んだ。
「おめでとうございます! 開店から12人目のお客様でございます、コケッコー!」
 とか大騒ぎされると、やっぱりアインも期待してしまう。
「景品とかもらえるんですか!?」
「そんなのないコッコ」
 この発言にアインは軽くショック。思わせぶりな店主だ。
 アインは店内を見回した。
「(ほかの従業員は? まさかこの変質者の仮面野郎さんしかない?)」
 舞踏会でもないのにこの仮面はまさしく変質者!
 まあ、店主が変態だろうと変人だろうと、ニワト……だろうが、商品がよければいいのだ。その商品も双眼鏡の一見で怪しいが、アインはそんなことなど知らない。
 さっそくアインはメガネを手に取った。毎度おなじみのパターンで店主がすっ飛んできた。
「まさかそれをお選びになるとはお客様は通でございますコケッコー!」
「通とか言われるとちょっと良い気分ですね、下町っ子ですから。それでどんな風に通なんですか?」
「まずはそのメガネをお掛けになって、ちょっとばかり目の方に力を入れていただきますとコケ……」
「メガネを掛けてっと」
 言われたとおりにやってみる素直ちゃん。
 だが、次の瞬間、思わぬ悲劇が待っていた。
 目から怪光線ドーン!!
 アインの掛けた眼鏡からビームが発射され、ルーファスとビビの真横を向けて店の壁に大穴を空けた。ルーファスは腰を抜かし、ビビは凍り付いた。一歩ずれていたら死んでいたに違いない。
 撃った本人も固まっている。
 テンションが高いの店主だけだ。
「素晴らしいですお客様コケ! まさかそのメガネをいとも簡単に使いこなしてしまうとは、そのメガネがお客様を選んだに違いないコケ。そこで特別に30パーセントオフで売って差し上げますコケッコッコー!」
「いりません!」
 アインは目から怪光線メガネを元の場所に戻して、自分のメガネをかけ直した。
 そろそろルーファスとビビは帰ろうと本気で思いはじめていた。
 ルーファスは店内を見回した。
「まともなメガネあるのかな?」
「もしかしたらあるかもしれないよっ!(と、思ってもないことを言っちゃった)」
「そうだね、もう少し見てみようか」
「(あ、ルーちゃんが乗っちゃった)う、うん、そうだよっ!」
 こうしてもうちょっとだけメガネを見ることにした。
 さっそくビビが自分用のサングラスを見つけた。
「あっ、このサングラスキュート♪(でもまた変なのだったり、高かったりして)」
 さっそく店主がすっ飛んでくる。
「お客様、まさかその禁断のサングラスを手に取るとは怖い物知らずですねコケ、コケコケ……」
 店主の声がちょっと震えていた。
 ビビは固唾を呑んだ。
「禁断のサングラスって……?」
「お掛けになればわかりますコケ」
 禁断とか言われて掛けるのはちょっと勇気がいる。
 そこでビビはニッコリ笑顔でルーファスに手渡した。
「ルーちゃんきっと似合うよ!」
「えっ……そうかなぁ?(なんか無理矢理押しつけられてる気が)」
 そうです、無理矢理押しつけられているのです。
 でも断ることのできないルーファス。さっそくサングラスを掛けてみた。
「…………」
 黙り込むルーファス。
 ビビは心配そうな顔をした。
「どうしたのルーちゃん?」
「……なんていうか、真っ暗でなにも見えないんだけど?」
 そう、サングラスを掛けた途端、視界が真っ暗。
 店主が禁断の詳細を開かす。
「じつはそのサングラス……掛けるとなにも見えなくなるという恐ろしいサングラスなのですコケッコー!」
 それってただのアイマスクじゃ?
 何事なかったようにルーファスはサングラスを戻した。
 ビビはルーファス用のメガネも見つけていた。
「ルーちゃんこっち来て、このメガネとかどう見ても普通そうだし、掛けたら頭良さそうに見えるよ?」
「ホントだ、至って普通のメガネっぽいね(これ掛けたら、頭良さそうに見えてみんなにバカにされなくなるかな?)」
 バカっぽい人が無理してメガネを掛けると、よけいにバカっぽく見える。メガネは自分にあった物を選びましょう。
 さっそくルーファスはそのメガネを掛けようとした。
 そこにアインの接客をしていた店主が気づいて止めに入った。
「お客様そのメガネはコケッコッコーーーッ!!」
 だが、もうルーファスはそのメガネを掛けたあとだった。
 とくに掛けたと言ってなにも起こらない。
 ビビはニッコリ笑顔を浮かべている。
「ルーちゃん似合うぅ〜♪」
「そうかなぁ、ちょっと鏡で……か、あががががが……」
 急にルーファスが全身を硬直させて、そのまま床に手をついてしまった。
「どうしたのルーちゃん!?」
 ビビの叫びが店内に木霊した。
 いったいルーファスになにが起こったのかッ!?