魔導士ルーファス(1)
《アホか。妾の城のことは他言無用だと言っておろう。おまえだけでヴァッファートに会いに行くと言うのなら、自由に使うがよかろう。だがな、ヴァッファートと対面し、角笛の話をするとなるとクラウスは必用だろう》
とかルーファスとカーシャが話しているうちに、ビビが声をあげた。
「見つけたよ、隠し部屋!」
たまたまビビが寄りかかった壁が、スイッチになっており、ラッキーにも隠し部屋を見つけたのだ。
ルーファスが動くとロクなことがないのに……。
「あ、カーシャ。見つかったって隠し部屋」
《つまらん、もう見つかったのか。妾は宴会の途中だから切るぞ》
と、言って切れるまでのほんの少しの時間、通話の向こうから女の声が聞こえてきた。
《カーシャどこ行った! わっちの酒が飲めないってのかい!!》
――ブチっと通話が終了した。
明らかに聞き覚えのある声だった。
ルーファスは聞かなかったことにして、隠し部屋に急いだ。
作品名:魔導士ルーファス(1) 作家名:秋月あきら(秋月瑛)