魔導士ルーファス(1)
カーシャの策略にハマっている。カーシャは自分が楽しむことしか考えていない。そのために他人を壮大に巻き込むのだ。特にルーファスはいっつもいい犠牲者だ。
ビビがルーファスの腕を掴んだ。
「ルーちゃんアタシを連れて逃げて!」
「は?」
思わず目を丸くしたルーファス。
カーシャが呟く。
「ビバ・愛の逃避行。駆け落ちとも言うがな、ふふふ」
事の方向性を理解したルーファスが叫ぶ。
「ちょっと、なんでそうなるの!!」
しかし、流れはそっち方向に急速に流れていた。
ビビがルーファスの腕を引っ張って走り出そうとする。
「いいからアタシを連れて逃げて!」
「なんで、どうして、私が!?」
「いいから!」
グイグイ腕が引っ張られる。連れて逃げると言うより、連れられて逃げるだ。
カーシャが箒を取り出し、それをルーファスに投げつけた。
「受け取れルーファス!」
「えっ、なに!?」
反射的に箒を掴んだルーファスの身体が浮いた。箒が空を飛び、気づいたときには箒を離したら骨折する高さだった。
片手で箒、もう片手にはビビがぶら下がっている。
しかも箒はグングン高度を上げて、さっきに穴の開いた天井から遙か空へ。
「ぎゃぁぁぁぁぁーす!」
情けないルーファスの叫び声。
そして、二人は星となった。
作品名:魔導士ルーファス(1) 作家名:秋月あきら(秋月瑛)