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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI 3 私をそろばんずくにして

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「・・・考えてみたら、買う方にお得なローンってあるのかな?」
「どう考えても半分でいいんだから、お得だろう」
「じゃ、誰が儲かるのよ」
「車のローンって、自動車メーカーがローン会社を作ってやってるから、効率がいいんだよ」
「ふーん。買ってもらうために安いローン組ませてるのか(それならちょっと安心かも)」
「5年も乗れたら十分だし、そのあとも新車、また安くローンすればいいし」
「ふむ。“そろばんずく”ってわけ? でもその時、下取りしてもらうのに、車がボロボロだったらどうなるの?」
「そうなってたら、追加で払わないといけないんだ」
「え? やっぱりなんだかんだで、その時にお金かかるんじゃない?」
恵美莉は、シートに背中を押し付けて、少し背伸びしながら言った。
「そうならないように大事に乗るから」
(本当に払えるのかな? あたしが肩代わりしちゃいそうで心配になるわ・・・)

「そのスイッチ何?」
 恵美莉は、ハンドルの奥に付いているレバーを見ながら聞いた。
「どれ?」
「その棒に付いてるやつ」
春樹は運転しながら、頭を下げてハンドルの奥を覗いてみたが、よく見えない。
「あ、前見てて・・・これよ、これこれ」
恵美莉は指を伸ばして、ちょんちょんとそのスイッチを触った。
「あぶね。触んなよ」
「押してないからいいでしょ」
「押すのかと思って、びっくりするだろ」
「押すわけないじゃん。あたしがそれ押すほど馬鹿だとでも思ってんの?」
「自爆スイッチだったらどうするんだ?」
「バカ・・・」