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フリーソウルズ2

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Scene.12
コーンアイス

敦木市中心街
七尾ひめと金井カーネル真凛、山本恭一の3人が並んで歩く。

真凛   「簡単に見つかると思ったんだけどな・・・」

3人の手には道中、立ち寄ったファストフード店で買ったコーンアイス。

真凛   「(アイスをひとくち食べて)もう10日も帰ってこないとは・・・(もごもご)」
ひめ   「私にもっと力があれば・・・」
真凛   「ひめのせいじゃないよ」
ひめ   「騎士団にやられっぱなしが悔しい」
真凛   「それな。俺はアホ警察の力を借りることが悔しい」
ひめ   「伝わったかなぁ、あのお巡りさんに、微妙なとこ」
真凛   「伝わったんじゃない? 少なくとも普通の家出じゃないと・・・」
ひめ   「だといいけど」
真凛   「警察はやっぱ苦手だわ」
恭一   「本当にありがとうございます、ひめさん、真凛さん。裕司のために」
ひめ   「家出とかで処理されてるだろうから、捜索してもらうためには事件性匂わせておかないと」
恭一   「(心配げに)でも、なんで裕司は拉致されたんですか」
真凛   「さあ、なんでだろうね(はぐらかす)」
恭一   「キシダンって何者なんですか。教えてくださいよ」
真凛   「ワンナイトカーニバル?」
恭一   「いや、そーじゃないでしょ」
真凛   「違った? ィエンジェール」
恭一   「もう、真凛さん」
真凛   「知ってても教えてあげない(ぶりっこ)」
恭一   「三浦のあの霊園で何があったんです?」
真凛   「こら、キョーイチ! 声が大きい」
恭一   「すいません」

うなだれて溶けかけたアイスを舐める恭一。

ひめ   「謝らなくていいよ、山本くん。いつか話せるときがきたらお話しするから、少し待ってて」
恭一   「ひめさん・・・」

恭一の持つコーンから抹茶アイスが溶け落ちる。


歩道のすぐ脇を黒塗りの高級乗用車が音もなく停車する。
靴にこぼしたアイスを拭き落とすのに懸命な恭一。

ひめ   「山本くん、きょうはお疲れさまでした」

ショルダーバッグを肩に掛け歩道の柵をひょいと乗り越えるひめ。
車の後部座席のドアが自動で開くのを待つひめ。
車内の様子は窓に貼られた濃いスモークで隠されている。

真凛   「会長のお呼びか、ひめ?」

呆然とした顔でひめを見あげる恭一。
「うん」と首を振って微笑み返すひめ。

ひめ   「そういうことだから夜の練習はなしね。真凛、メンバーに伝えといて」
真凛   「わかった。でも弱ったなぁ。予定が空いちまった」

車のドアが閉まる。
低いエンジン音を鳴らし高級乗用車はひめを乗せて走り去る。
舌打ちして空を見あげる真凛。
それから恭一の肩を叩く真凛。

真凛   「キョーイチ、このあと暇だろ、付き合え」

真凛に好意を持つ恭一は緊張が昂じてまともに真凛の顔を見られない。

恭一   「(震える声で)真凛さん・・・今、何て・・・」
真凛   「だから今夜付き合えって」
恭一   「俺でいいんすか?」
真凛   「ああ。でも、ひとつ言っとくが・・・」
恭一   「わかってます、真凛さんは男に興味ない・・・」
真凛   「そういうこと」

財布の残金を確かめる真凛。
スマホで横浜山下公園までの移動時間を調べる真凛。



作品名:フリーソウルズ2 作家名:JAY-TA