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フリーソウルズ2

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Scene.61
益岡ユアト

大学病院
スーツに着替えて病室でくつろぐ益岡。
病院前には多数の報道陣が参集している。
報道陣の中を一台の高級乗用車が悠然と病院の地下入口に入っていく。
車に誰が乗っているか見えず関心を示す者もいない。
病室のソファに腰かけタバコを吹かし来客を待つ益岡。

SP   「お見えになりました」

廊下にいたSPがドアノブを握ったまま病室内にいる秘書官の磯部に耳打ち。

磯部   「通したまえ」

病室のドアが開き病室に足を踏み入れるユアト。
高級ホテルのスイートルームと見紛うような立派な設えの病室である。

ユアト  「益岡先生、お久しぶりです」

立ち上がってユアトを出迎える益岡。

益岡   「おお、憶えていてくれたか。それは嬉しい」

懐かしいものを見る笑顔を浮かべる益岡。

益岡   「湯浅智樹くん。いや今はユアトくんと呼んだほうがいいのかな」
ユアト  「どちらでも」
益岡   「では、ユアトくんと呼ばせてもらおう」

場を察して無言で病室から立ち去る磯部。

益岡   「何年ぶりかね?」
ユアト  「911のときですから、もう18年に」
益岡   「そんなになるか・・・」
ユアト  「その節はありがとうございました」
益岡   「ユアトくん、君はまだこんな小さな子どもだった」

腰の位置に手をやる益岡。

ユアト  「父の葬儀に来ていただいた方のお顔は忘れません」
益岡   「まさか、あの飛行機に乗っておられとは・・・。不運だったとか言いようがない」

顔を曇らせて窓の外を眺める益岡。

益岡   「(振り返って)しかしユアトくん。きょうはよく来てくれた」
ユアト  「いや私のほうこそ、入院中、お見舞いにも来ず・・・」
益岡   「たいした怪我じゃないから、構わんよ。ところでユアトくん。君、最近ネットで人気者になっているそうじゃないか」
ユアト  「あれは、ほんのお遊びです」
益岡   「ゼーレのことは誰から?」
ユアト  「数年前、父の書斎を整理しているときに偶然、アシュロフ博士の本を見つけて。それから自分なりにいろいろと・・・」
益岡   「さすがプロフェッサー・ユアサの息子。そこで尋ねたいのだが・・・」

ひと呼吸置いて窓辺に近寄り空を見あげる益岡。
十数羽のカラスが飛んでいる。
その数は見る見る増え空を覆い隠すほどの数になる。


作品名:フリーソウルズ2 作家名:JAY-TA