フリーソウルズ2
Scene.44
香織海中
マスクを押さえタンクの重みで船のヘリから海中にエントリーする香織。
教えられた手順で海の中に身を沈める真凛。
透明度の高い海中。
香織の傍ら手が届く距離にインストラクターが潜っている。
上手く水中に留まれるよう息の吐き方を身振りで指導するインストラクター。
呼気の泡がきらきらと海面にたちのぼる。
水の中から見る海面は陽射しを浴びてまるで空のように香織の目に映る。
伊豆大島近海の海底には多種多様色鮮やかなサンゴが群生している。
射しこむ陽光と水の揺らぎが相まって夢幻の世界が広がっている。
海中を黒い影が横切る。
香織たちに近づき遠ざかる黒い影。
”バンドウイルカ”とマグネットボードに指で書いて香織に向けるインストラクター。
マスクの中で小さく微笑む香織。
次に白い影が現れる。
ボードに素早く“シロイルカ”と書くインストラクター。
ふたりのダイバーのすぐ傍まで接近するシロイルカ。
香織の目の前に来て顔を2回縦に振るシロイルカ。
シロイルカに呼応するかのように2度首を縦に振る香織。
”初めて見たわ”と興奮気味に手を叩くインストラクター。
さりげなくふうっとインストラクターと距離をとる香織。
後方からバンドウイルカがまたやってくる。
香織とインストラクターの間をそのイルカが通り過ぎよようとする。
そのとき両手を伸ばしイルカの尾びれを掴む香織。
香織の身体がイルカに持っていかれる。
イルカは香織を引っ張りながら泳いでいく。
海中に泡が立つ。
インストラクターの視界から香織の姿が消える。
慌ててイルカが泳ぎ去った後を追うインストラクター。