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フリーソウルズ2

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Scene.28
養鶏場

千葉県長南町。
長南町郊外の田園地帯を一台のカローラが走っている。
運転するのはリョウ。助手席にカモがいて、後部座席にはレンとゆっちん。

レン   「会ってもらえるかな?」
ゆっちん 「当たって砕けろ、や」
リョウ  「突撃アポなし」
カモ   「となりの晩ご飯か」
ゆっちん 「しかしアポとるのに弁護士事務所通して2か月待ちとか、異常やん」
リョウ  「会いたくないんだろ」
カモ   「ユアトって野郎が、しっかりガードしてるみたいだな」
リョウ  「普通の農家のおじさんやで、香芝って人」
カモ   「ところでユアトのほうは、わかりそうか? ゆっちん」

膝に開いたタブレットのスクリーンキーボードを叩いて反応を待つゆっちん。

ゆっちん 「きたきた」

タブレットをレンとカモに見せるゆっちん。
タブレットにはユアトがアメリカで取得した運転免許証が映っている。

カモ   「TOMOKI YUASA シアトル在住」
レン   「ゆあさともきでユアト? ダッセー」
ゆっちん 「国籍はベリーズ。シアトルとシリコンバレーでIT系の投資会社経営だって」
リョウ  「本名でいいだろ」
ゆっちん 「年収は、・・・十万、百万、千万・・・やめとこ、金持ちや」
リョウ  「千万円クラスなら普通じゃね?」
ゆっちん 「単位はドルや」
カモ   「その金持ちがなんでユーチューバーなんかに?」
レン   「やっぱ、遊びかな?」
ゆっちん 「金持ちの道楽」
カモ   「だったらいいが・・・。こんなことしてユアトに何の得が?」
レン   「だから遊びだって」
リョウ  「着いたみたいだ」

減速するカローラ。
周囲を低い丘に囲まれた広大な土地の真ん中に停まるカローラ。
道路と敷地は等間隔に並んだ生木の杭で隔てられている。
杭と杭の間には頑丈な鉄条網が三層に張ってある。
鉄条網の遥か向こう側に波板の屋根の建物が3棟建っている。

レン   「入り口はどこだ? あ、あそこに人が立ってる」

200メートル程先の黒い人影を指さすレン。
再び低速で走りだすカローラ。
本線と枝別れして建物の敷地に続く取り付け道路がある。
それとともに人影もはっきりしてくる。
がっしりした体格の男がふたり道路脇に立っている。
出入りを守る門番の風体で両名とも浅黒い肌いかつい体格で攻撃的な顔つきをして
いる。
取り付け道路の真ん中にはフル装備したシルバーのハマーが鎮座している。
カローラの車内に悲観的な空気が流れる。

リョウ  「手のこんだ遊びだな」
レン   「ついていけない」
ゆっちん 「誰が行くの、これ?」

手土産に用意された安価な菓子袋を持ち上げるゆっちん。
菓子袋を手に門番の男たちに近づくカモ。
木で鼻をくくったような対応をする門番。
超科研の4人を乗せたカローラは香芝養鶏場をあとにする。



作品名:フリーソウルズ2 作家名:JAY-TA