フリーソウルズ2
香織の左目の下に黒ずんだシミがあることが気づく真凛。
真凛 「ああ・・・(言いよどんで)あの男とは、別れたほうがいい・・・と思う・・・」
香織 「誰、あなた? なんなの?」
真凛 「俺は・・・(間が空いて)金井真凛」
香織 「矢沢の元カノかなにか?」
真凛 「まさか、そんなんじゃない」
香織 「関係ないなら放っておいて」
真凛 「君を助けたいんだ」
香織 「あんたに何ができるの? 学生でしょ」
真凛 「俺は何もできないけど、俺の友達なら・・・」
香織 「さよなら」
言い放って背を向ける香織。
真凛 「(香織の背中に呼びかける)聞いてくれ。君は・・・」
香織 「変なことに巻きこまないで!」
足早に真凛の視界から消える香織。
悔しさと自己嫌悪を噛みしめる真凛。
恭一 「真凛さん」
真凛 「キョーイチ(恭一の肩にもたれかかる)」
真凛 「サイテーだな、俺」
恭一 「だから言ったでしょ。童門香織はヤバい女だって」
真凛 「救ってやりたい」
恭一 「諦めましょうよ。彼女には何を言っても通じない」
真凛 「助けやりたいんだよ。彼女が七尾ひめに会いさえすればわかる」
恭一 「まだ言いますか」
真凛 「なぁキョーイチ」
恭一 「何ですか、真凛さん」
真凛 「ひとつわかったことがある」
恭一 「何ですか、わかったことって?」
真凛 「男の名前。ヤザワ」
恭一 「もう、真凛さん」
呆れて溜息をつく恭一。
救急車のサイレンの音が近づいてくる。