フリーソウルズ2
スタジオスウェイドのルームA
ゼーレ_セカンドインパクトを見終わった姫君4人と恭一。
ひめ 「山本くん、今の見てどう思った?」
恭一 「どうって・・・」
うらら 「正直に」
恭一 「そう言われても・・・わかりません」
真凛 「だから、何がわからないの? キョーイチ」
恭一 「ゼーレ・・・?」
うらら 「あのぉ、山本くんは、幽霊とか?UFOとか信じる人?」
恭一 「いや、僕、見えない人だし、UFO見たことないし」
うらら 「宇宙人は?」
恭一 「それは、宇宙のどこかにいると思うけど・・・どうかな・・・」
ひめ 「地球上にいるって思ったことはない? 宇宙人」
恭一 「ないっす。そう言ってるテレビ見たことあるけど、嘘くさくて・・・」
ひめ 「このさ、ユアトっていうのも嘘くさい?」
恭一 「はい、なんか・・・へん」
真凛 「正直でよろしい」
小さな笑いが起こる。
真凛 「ところでキョーイチ、僕らが4人とも宇宙人ですって言ったら、キョーイチは信じる?」
恭一 「あ、いや、そんな・・・まさか(否定する)」
真凛 「はい、宇宙人ではありません」
恭一 「あぁぁ、よかったぁぁ(胸を撫でおろす)」
ひめ 「地球人、日本人です。ただし、4人とも・・・」
そこで間を置いたひめ。
唾を飲みこむ恭一。
ひめ 「チェザルモです。ユアトがいうゼーレを持っています」
理解できない表情の恭一。
うらら 「ゼーレって魂のドイツ語だけど、私たちはロックやってるから、英語のソウルを使ってるけど意味は同じ」
恭一 「魂?」
ひめ 「そう、たましい・・・って言いたいところだけど、違うの」
恭一 「魂の叫びとか、魂が揺さぶられるとかの魂でしょ」
うらら 「ハートの熱い人のことをそう表現する言い方、きらいじゃないけど」
ひめ 「ちょっと違うの」
恭一 「何なんですか、まったくわからない」
真凛 「キョーイチは霊魂とか、魂が抜けるとか聞いたことある?」
恭一 「あります、うん、あります」
真凛 「それって、肉体から魂が離れてる状態だよね」
恭一 「はい。あ、人が死んで魂が天に召されるってやつですか?」
真凛 「それは宗教が過剰に美化したものだけど、本質は近い」
ひめ 「山本くん、想像して。魂がある。それは人が生まれる前からこの世にあり、死んでからもこの世に存在する」
目を閉じてひめの言葉を頭の中で想像する恭一。
ひめ 「魂は人類が地球上に現れるより前に、言えば1億年前からこの地球にある」
恭一 「1億年前? それが想像できない」
ひめ 「じゃあ恐竜時代は?」
恭一 「約6000戦万年前でしたっけ」
ひめ 「そう」
恭一 「だったら、なんとなく・・・」
ひめ 「その時代には地球上にもうゼーレはあった」
恭一 「恐竜にも魂があったということですか?」
ひめ 「YESでもありNOでもある。ただし恐竜が作りだしたものではない」
うらら 「ではゼーレがどうやって生まれたのか」
恭一 「わっかりません、ぜんぜん」
うらら 「これは推測の域を出ないんだけど、ある研究者の意見によれば、知的生命体が持つ意識の究極の形」
恭一 「ちんぷんかんぷん」
真凛 「ユアトって野郎が説明してるじゃん」
綾乃 「私は死があるから生きてる意味があるって思ってるんですけど、一部のお金持ちはやみくもに永遠の生命求めるんです。意識のみになっても」
うらら 「1億年前の地球に人類みたいのがいて究極まで発展した、とは考えにくいから、発生源は地球外・・・」
恭一 「地球外?」
ひめ 「およそ5万光年から10万光年先離れたどこかの惑星が、発生源なんじゃないかと言われてるけど、その惑星の寿命が尽きたから移住してきたんだろうな、と」
うらら 「ゼーレの形で」
恭一 「地球外生命体が地球に引っ越してきたってことですよね」
ひめ 「地球外は合ってるけど、生命体ではないの」
恭一 「そこが謎」
ひめ 「意識の究極形なの。自ら肉体は持たず肉体を持つ生命体に依存する形を選んだの」
恭一 「ボディスナッチャーですか。遊星からの物体Xですか?」
真凛 「古い映画を持ってきたね」
綾乃 「なんですか、遊星からのって?」
恭一 「ゼイリブ、インベイジョン」
真凛 「出せばいいってもんじゃないよ、キョーイチ」
うらら 「ゼーレに敵意はない。地球を侵略しようとか意図もない」
綾乃 「そもそも感情がありません。意識の存在を純化したとき、他者との間に生じる感情は不要だと判断されました。きっと。これ推測」
うらら 「ゼーレは、自身と他者を区別できて自己防衛がある程度できる地球上の動物にトランスした」
真凛 「チェザルモ。これは動物にも使うんだけど、宿主みたいな意味な。チェザルモを変えながら何千万年以上もの間、ゼーレは地球上に存在している。研究者談」
ひめ、真凛、うらら、綾乃の顔を順番に見る恭一
恭一 「それであなたたちは、自分たちがチェザルモだと・・・」
椅子をうしろに引く恭一。
恭一 「冗談でしょ。ドッキリか何かでしょ・・・(額に汗がにじむ)」
真凛 「本当のことだ、キョーイチ」
恭一 「急に信じろと言われても・・・」
ひめ 「私たちのことを今すぐ信じて、とは言わない」
真剣な眼差しを恭一に向けるひめ。
ひめ 「でもね、山本くん、椿谷裕司もチェザルモなの。受け入れるまでみんな混乱するの。発狂したり自殺する人もいる。だって誰も信じようとしないから。親友の山本くんなら彼を信じてあげられるよね。彼を救えるのは、山本くん、あなたしかいない。だから,こうやって話してるの」