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フリーソウルズ2

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Scene.23
恭一スタジオ

世田谷区経堂駅前の雑居ビルの地下スタジオ”スウェイド”

♪he may gimmeeee!!!! ♪
七尾ひめがシャウトする。
比留間綾乃がディストーションをかける。
牛神うららはシンバルの振動をやさしく押さえる。
金井カーネル真凛がベースの弦を弾いた手を高く掲げる。

ひめ   「もう、みんな最高!(絶賛する)」
うらら  「綾乃、もっと前に出ていいよ」
真凛   「みんな練習さぼってた割には、上出来だな」

ストラップを肩から外しレスポールをスタンドに立てかける真凛。

ひめ   「秋から始まるライブとツアーは心配なさそうね」
真凛   「一発目が灌北大学の学園祭か」
綾乃   「(アニメ声で)楽しみですぅ。でもファンの方、来てくれるのかしら」
うらら  「綾乃、聞いてないのか? チケット完売だってよ」
綾乃   「え。本当ですか? 嬉しい」
真凛   「綾乃、もうギター下ろしていいよ」
綾乃   「は、はい」

赤ん坊を寝かすようにストラトテレキャスターをスタンドに置く綾乃。
マイクスタンドとケーブル類を手際よく片付けるひめ。
ラップトップPCが置かれた小さなテーブルの周囲に丸椅子を5脚並べるひめ。

真凛   「あれ? ひめ、1個多いよ」
ひめ   「いいの」

壁面に据えられた受話器を持ちあげるひめ。

ひめ   「きょうはお客さんを呼んであるの」
真凛   「誰?」

通話ボタンを押してフロントと話すひめ。

ひめ   「あ、フロント? 山本恭一くん来てる?」
真凛   「キョーイチ?(驚く)」
うらら  「山本くん?」

ざわつく真凛たち。
ルームAの扉を開ける恭一。

恭一   「(4人を見て)わっ、姫君だぁぁぁ」
ひめ   「どうぞ、山本くん」
真凛   「ひめ! なんでこんなバカ呼んだ?」
恭一   「ま、真凛さん・・・昨日はどうも・・・」
真凛   「ほら、バカだ」
うらら  「え、真凛さん、昨日山本くんと何かあったんですか?」
真凛   「何にもねえよ・・・」
恭一   「真凛さん・・・」
真凛   「何だよ、バカ」
恭一   「昨日、ひめさんと3人で・・・」
真凛   「あ、昨日、警察に行ったか」

バツが悪そうに顔を赤らめて丸椅子に腰かける真凛。
恭一と姫君の4人全員が丸椅子に着席する。

ひめ   「警察のこともあるけど、淡嶋会長からの提案があってね、捜索範囲を広げたの」

淡嶋を知らない恭一だけが理解不能な顔。
真凛以下姫君の3人は納得して頷く。

ひめ   「捜索は引き続きレオに頼んであるから、報告を待つとして・・・」
恭一   「レオ?(恭一が真凛に訊く)」

口元に人差し指を立て静かに聞くよう目で恭一に命じる真凛。
おあずけを喰った仔犬のように顎を引く恭一。
4人に見えるようにラップトップPCを置き直すひめ。

ひめ   「きょうはみんなに見てほしいものがあるの。山本くんも一緒に」

PCのキーボードを操作してYouTubeの動画を再生するひめ。

”ゼーレ セカンドインパクト”

PC画面上にユアト作の動画が始まる。
視聴回数30万回を超えている。


作品名:フリーソウルズ2 作家名:JAY-TA