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フリーソウルズ2

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Scene.16
エヴァンゲリオン

会議室から部室に戻った超科研の4人。
各々の定位置に落ち着きペット苦い表情でボトルの水を回し飲みする。

リョウ  「何を見せられてたんだろう・・・」

ノートPCを角机の上に置き吐息をつくリョウ。
背表紙に学園祭資料と手書きされたファイルを手に取るレン。

レン   「佐伯さんが部に在籍してた年は、転生がテーマみたいっすね。血縁も面識もない赤の他人の記憶をもつ子どもを調査してる」
リョウ  「信じていいのかな、佐伯先輩の話」
カモ   「どういう意味だ、リョウ?」
リョウ  「初めはさ、妹思いの良い兄貴だと思いながら聞いてたんだけどさ。だんだんこいつ大丈夫かっ?てなった。最後のほうは醒めてきた」
カモ   「ゼーレか?」
リョウ  「それが決定打かな。そのうち人類補完計画とか言い出すんじゃないかって」
ゆっちん 「ごめん、ゼーレって何?」
リョウ  「知らんのか、ゆっちん」
ゆっちん 「へへ、俺プリキュア派やから」
レン   「エヴァンゲリオンに出てくる組織の名前」
ゆっちん 「それって、イルミナティみたいな感じの?」
リョウ  「・・・遠くはないが近くもない・・・」
カモ   「エヴァは関係ないだろ」
リョウ  「どうしてそう思うんですか、カモさん?」
カモ   「佐伯道雄がいうゼーレは元の意味の魂に近い。二次元じゃなく、実際この世に存在するもの。大学教授が研究対象にする何か。それに・・・」
レン   「それに?」
カモ   「ゼーレは佐伯先輩が言い出したんじゃなくて、アシュロフ教授が提唱した概念だから」
リョウ  「そこなんですよ、カモさん。アシュロフって学者、聞いたことがない」
カモ   「俺はある」
レン   「ちょっと調べてみます」

スマホを操作してgoogle検索を始めるレン。

ゆっちん 「やけど、部長。魂という概念自体はアシュロフ以前、大昔からありますよ」
カモ   「うん、そこなんだよな、ゆっちん。それまでは魂は神学や哲学の世界で語られていた。それはなぜか。人の目には見えなかったから。20世紀に入って科学が進歩して今まで見えなかったものがいろいろ見えるようになってきた。いわゆる素粒子とかな。それで魂でさえ科学的に研究する対象になってきたんだ」

wikiに出てきたアシュロフの項目を読み上げるレン。

レン   「オリベール・アシュロフ。ポーランド出身在住の理論物理学者。あと生年月日と没年しか書いてない」
カモ   「業績とか、中身は?」
レン   「ない。何も書かれてない」
カモ   「変だな」
リョウ  「実在したのか疑問」
レン   「次はゼーレを調べてみる」

キーボード入力するレンの手を制止するカモ。

カモ   「(大きめの声で)待て、リョウ!」
レン   「(驚いて)何?」
カモ   「今すぐwifiを切断しろ」
レン   「どうして?」
カモ   「いいから」
カモに急かされてPCのwifi接続を切るレン。
カモは少し安堵の表情を見せて言った。
カモ   「(少し安堵の表情を見せて)リョウ、ゆっちん、レン、考えてみろ。俺たちは佐伯先輩が身を挺して守ろうとしたデータを覗いたんだ。多香子さんの許可なしにこの話を外部に漏らすのはマズい」
レン   「アシュロフを調べただけだし・・・」
リョウ  「漏れてないでしょ。心配しすぎですよ、カモさん」
カモ   「だといいが・・・(顔を曇らせる)」



作品名:フリーソウルズ2 作家名:JAY-TA