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優秀な世界にて

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 開戦と同時に、多国籍軍は侵攻を始めました。まず、戦闘機と爆撃機の「群れ」が、最寄りの都市へ向かいます。搭載されたミサイルや爆弾には、「臨時ボーナス在中」といった言葉が記されていました。読む暇があるかはともかく、よくある挨拶文です。
 来襲する群れに対して、軍は迎撃態勢を整えました。無駄の無い指示や行動のおかげで、対空ミサイルや迎撃機による歓迎の準備はバッチリです。パイロットや迎撃要員が、隙間なく見張っています。

『差別主義者どもへのプレゼントの用意はできたか?』
『いつでもくれてやれますよ!』
『おい爆弾屋、一番高いビルはオレに残しといてくれよ?』
『よーしお前ら! 思う存分暴れてやれ!』
何十発ものミサイルが、群れから放たれました。1発1発が接触しそうなほど、たくさんの量です。
 ……ところが、それらのほとんどは撃ち落とされました。優秀なパイロットや迎撃要員が、マシンガンなどを駆使し、次々に狙い撃ったわけです。とはいえ、過酷なテストを勝ち抜いてきた自負から、これぐらい当たり前という調子でした。気を緩ませることなく、次の攻撃に備えます。
『ヒュー! さすがエリートさんだぜ!』
『これは真剣勝負が楽しめそうだ!』
見事な腕前に、多国籍軍のパイロットは感心を隠せません。
 それでも群れは、爆弾や銃弾を、目についた建物へブチこんでいきます。火柱や黒煙があちこちで上がり、ガレキがクラッカーのように飛び散りました。縦横無尽に飛び、暴れまわる群れ……。

 もちろん、パイロットや迎撃要員は、黙ってそれを見届けているわけではありません。迎撃機や発射台に装備された対空ミサイルを、次々に放ちます。超音速で群れへ飛び込んでいく、何発ものミサイル。
 その対空ミサイルは、優秀な技術者によってプログラミングされた最新式でした。高速で舞う機体を確実にロックオンし、命中するまで追跡を続ける白物です。囮のフレアが撒かれたものの、無駄な抵抗で終わりました。
 群れから脱落していく、戦闘機や爆撃機。緊急脱出装置で運良く逃げられた者もいれば、運悪く逃げ損ねた者もいます。
 群れの仲間たちは、当然激怒し、戦意をさらに高揚させました。後続の機体も加わり、怒り狂うその群れは、一気に大きく膨れ上がります。
 そんな群れに発展してもなお、対空ミサイルは次々に飛んでいきます。ですが、いわゆる数の暴力には勝てず、迎撃機や発射台自体が破壊されていきました。役目を果たせなかった対空ミサイルは、虚しく共に誘爆したのでした。

作品名:優秀な世界にて 作家名:やまさん