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優秀な世界にて

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 ……ただ、人々の不満は大きく膨れ上がっています。テストやノルマが好きな人間なんていませんからね。
 そのため国は、膨れ上がった人々の不満を、急いで解消する必要に迫られたわけです。なにしろ、優秀イコール愛国心が備わっているというわけではありません。むしろ、自分中心に考える人間が依然よりも増えたほどです。
 ただ、幸か不幸か、その国はすぐに解決策を思いつきました。保身の方法を思いつけるのも、優秀な人間である証拠だと言えてしまうでしょう……。



「皆さん、よく見ておきましょう!! もし勉強をサボっちゃうと、あんな惨めな暮らしをしなくちゃいけないんですからね〜!!」
そこは動物園で、ちょうど小学校の遠足が行なわれています。引率の先生が子供たちに、広いオリの中にいる「ある動物」の説明をしていました……。

「…………」
「…………」
その動物とは、テストやノルマで敗れた人々でした……。オリの看板には、「劣等人種」と記してあります。その人々は、黙って座りこんでいました。
 国は、優秀な人々の不満を解消する方策の1つとして、一部の人々を見世物として起用したのでした……。動物園のオリで展示されるのはまだいいほうで、街中でボールをぶつけられる役もありました。
 とはいえ、はけ口となった人々には、生きることを認めてもらっている事情があるので、ガマンするしかありませんでした。死ぬかはけ口として生き残るかの選択を迫られたわけです……。

「びんぼうくせ〜〜〜!!」
「くさっ!!」
優秀な人々である子供たちは、バカにした表情と口調を、恥ずかしげもなく披露しています。しかも、ストレス解消だけでなく、自分に自信を持たせる効果もありました。「自分はあんな生き物じゃない」といった具合に……。

作品名:優秀な世界にて 作家名:やまさん