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スーパーソウルズ

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「ひどいこと言いました」
「気にするな」
「真凛さん・・・」
「俺も大人げなかった・・・」

恭一は新しいドリンクと揚げたてのフライドポテトを持ってテーブルに戻ってきた。
その間、真凛はずっと窓の外をぼんやり眺めていた。
「ありがとう・・・」
そう言って真凛は軽く恭一の手に触れた。
「わかってます」
前屈みになっていた姿勢を戻し、真凛は諭すような穏やかな口調で恭一に言った。
「なぁ、キョーイチ。初めは晶子だった。でも今は、童門香織なんだ」
真凛が話し始めた間、恭一は甲斐甲斐しくドリンクにストローを挿して真凛に差しだす。
「晶子さんのことは・・・」
「彼女のことは、絶対忘れない。だから、初めて香織を見たとき、あまりに晶子に似てたから記憶がいっきに蘇った。クラブパリセーズ」
「おいくつだったんですか、晶子さん」
「俺が知ってる晶子は21歳。きれいだった。ほんとにきれいだった。顔も歌も」
真凛はアイスコーヒーをひと口飲んで続けた。
「2年前、ひめに会ってレオを知って、調べる決心がついた。晶子のその後のこと」
「25歳でしたっけ」
「ああ、25歳。25歳でこの世を去っていた。薬物の過剰摂取だって。あの連中に殺されたんだ。
彼女は4年間でボロボロにされたんだ、ヤクザの連中に」
「悔しいっすね」
「ああ」
「でも真凛さんが撃たれてなかったら、晶子さんが死んでいたかも」
「かもしれない。自問自答さ。あの日俺は死ぬ運命だったのか。その死に意味はあったのか。
もし俺が死んでなかったら晶子は今でも歌い続けていただろうか。
答えのない自問自答さ。そんなとき香織と会った。この女と話をすれば答えが見つかるかもしれない。そう思った。
でも時間が経つにつれ、ただただ彼女にもう一度会いたいという思いが強くなっていた」
「それは晶子さんにでしょ」
「わからない。初めはわからなかったけど、わかったんだ。江の島で香織に会ったとき、香織の目を見たとき、違う感情が湧いているのに気づいた。
この女は俺に似ている。俺と同じことで苦しんでいる。自分が自分じゃないことに苦しんでいる。そう感じた。恭一にはわからないだろうが」
「あ、あぁ・・・」
「俺も長い間同じ辛さを味わってきた。周囲の人間からまったく理解されない。逃げ出したい、消え去りたい。ずっと思ってきた。
でもチェザルモは命を自ら絶つことができない。
ゼーレがそれを許さないんだ。七尾ひめに出会ってゼーレのこと、納得いくまで説明してもらって、やっと自分の身に起きていることがわかった。
心が晴れたよ」
「だから童門香織をひめさんに会わせたい?」
「うん。でもそれだけじゃない。やっぱり俺、童門香織という女に惚れたんだよ。彼女の瞳に・・・」
「むずいなぁ」


作品名:スーパーソウルズ 作家名:椿じゅん