オヤジ達の白球 66話~70話
(カーポートが、雪の重みで倒壊してしまうなんて・・・
なんとも信じられない光景だ。雪も60㌢を超えると、凶器にかわるんだな)
目の前の光景に、祐介が言葉を失う。
住人はまだ、この悲劇にまったく気が付いていないようだ。
1階の雨戸はかたく閉じている。2階のカーテンも分厚いまま閉じられている。
(驚くだろうな、きっと。目を覚ましたら、この有様に)
そういう俺も、2階の屋根から落ちる氷のかたまりに
度肝を抜かれたと、祐介が口元をゆがめる。
悲劇は連鎖する。
いつもの曲がり角へやってきたとき。
目の前に、崩れ落ちたもうひとつのカーポートがあらわれた。
こちらは支柱が、根元からポキリと折れている。
片傾斜の屋根が、そのまま住人の愛車を押しつぶしている。
(どうやらカーポートの倒壊は、ひとつやふたつじゃ
終わらないみたいだな)
いつもの曲がり角で立ち止まった祐介が、あらためて周囲を見渡す。
崩壊していないカーポートが目に入る。
しかし。こちらのカーポートも時間の問題だろう。
4本の柱が必死に重みに耐えている。だがカーポートの雪はゆうに
70㌢をこえている。
そのうえ未明から降った大量の雨もふくんでいる。
(あっ・・・カーポートだけじゃねぇ。もうひとつ心配事がある!)
作品名:オヤジ達の白球 66話~70話 作家名:落合順平