オヤジ達の白球 66話~70話
「なんだよ。誰かと思ったら熊じゃないか。
朝から勤労奉仕か。ずいぶん御苦労なことだ」
「それがよ・・・
大きな声じゃ言えないが、実はまだ酒が残っているんだ。
なにしろ出動命令が出たのが、深夜2時のことだからな」
「なんと。深夜の2時から働いているのか。
たいしたもんだ」
「重機で出動するのは、4年前のニューイヤー駅伝のとき以来かな」
「4年前のニューイヤー駅伝の時も、出動したのか!」
「出動したものの、結局、雪は降らなかった。
それでもいつ降っても除雪ができるよう、スタートの
30分前まで待機した。
7区間、100キロの道路を除雪するんだ。
群馬県中の土木業者と、ありったけの重機がかき集められた。
その中に、俺様も居たというわけだ」
積雪地域でなければ、自治体は除雪車を常備しない。
百年に一度の豪雪に備え、ふだんはほとんど雪のふらない自治体が
除雪車を備えることは不合理であり、現実的でない。
そのため行政は積雪時、土木建築の事業者に除雪に使える重機を
提供してもらう。
割り当てした区域の除雪作業を委託する。
降雪が予報されると担当者は、休日夜間に関係なく、すぐ
出動できるよう待機する。
所有する重機が不足する場合は、レンタル事業者へ手配する。
作品名:オヤジ達の白球 66話~70話 作家名:落合順平