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オヤジ達の白球 66話~70話

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 どの家もおなじように雪に埋もれている。
庭にこんもりかたまりが見える。たっぷりの雪を屋根に乗せた乗用車だ。

 「どの家もまだ、ふかい眠りの中だな。
 ということはこのまま道路の真ん中を歩いて行っても、
 安全ということかな」

 心臓やぶりの急坂が、難所になるのは歩き出す前からわかっていた。
除雪のすんだ道路を80メートルほど歩くと、心臓破りの急坂が
目の前に迫って来る。
道路が吸い込まれるように、下へむかって落ちていく。

 「ホントだ・・・。
 ここから見下ろすと、まさにここは、70m級のジャンプ台だな」

 足元に箱庭のように、雪に埋まった市街地がひろがる。
右へ目をむける。市街地を二分して流れていく渡良瀬川が見える。
暴れ急流の名を持つ渡良瀬川も今日だけは、ただの巨大な白い絨毯だ。
堤防の向こう側に、郊外の風景がひろがる。
点々と大きな工場が見える。工場と工場にあいだに農地がひろがっている。
ビニールハウスの連棟が見える。

 見えるのは、いつもとまったく同じ光景だ。
おさない頃から見慣れた光景が、いつものように祐介のあしもとにひろがっている。
違うのは雪によって町がいつもの色を失っていることだ。
白一色に染まっている風景が、祐介の足元に静まり返ってひろがっている。
(雪で真っ白になるとなんだか、なにもかもが、
平等に見えるから不思議だな・・・)

 頂上で祐介が、ポツリとつぶやく


 (67)へつづく