小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

オヤジ達の白球 66話~70話

INDEX|2ページ/15ページ|

次のページ前のページ
 


 「毛布は借りていく。急に俺の家が心配になってきた。帰るぞ」
 
 祐介が庭へ一歩踏み出す。しかし、あまりの深さに思わず立ち止まる。
雪にはまった足が膝どころか、太腿まで隠れた。
想定をはるかに超える深さだ。

 「なんという深さだ。ゆうに、60㌢は超えてるな」

 「あら・・・ずいぶん深いわね。じゃ、長靴が要るかしら?」

 「せっかくの厚意だがこの深さじゃ、長靴なんかまったく役に立たねぇ。
 どうせ濡れるんだ。このまま濡れていくさ」

 「うふふ。男らしいこと。じゃ、せいぜい気をつけて帰ってね。
 あたしはもうすこし、ユウスケと惰眠をむさぼります」
 
 「おう。世話になったな」

 祐介が雪の中へ漕ぎ出す。
浅い雪なら滑らないようペンギンのように、よちよち歩けばいい。
だが膝の高さをこえると、そうはいかない。
普通の歩き方をしようと思っても、雪にもぐっている足が
すんなり前へ出ない。

 足をいちど、後ろ寄りに引き抜く。
そこから大きく外へむかって振り出す。そこから弧をえがくよう
前へ踏み込む。
大股のがに股で前へ出る。つまりは、雪相手のラッセルだ。

 「高台でラッセルするとは思わなかったぜ。
 それにしても積もったなぁ。ふかいところは7~80㌢をこえてるな」

 祐介が道路へ出る。
中央だけ除雪されている。車が一台通れそうなスペースが確保されている。
朝早く重機が、積もった雪を押し分けていったようだ。