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オヤジ達の白球 66話~70話

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 しかし。
折れたポールを替えようとしても、ポールの生産が追い付かない。
再建はままならない。ハウスが破れたままでは中のごぼうが
寒さで全滅してしまう。
雪の大津波がおそったようだ・・・ある農家はこの朝の出来事を思い出して
そんな風につぶやいた・・・

 祐介が、雪かき用のスコップを手に自宅の裏へ出る。
すぐ裏手を渡良瀬川が流れている。
足尾から流れてくるこの河は、このあたりから川幅をひろげ
市内を二分する。

 かつては川漁師が生計を立てられるほど、多くの魚がいた。
しかし。足尾銅山を源流とするこの川は、明治時代から
苦い歴史を刻んできた。
戦後の高度経済成長期には、異臭を放つほどの水質になった。
今はすっかりよみがえり、毎年10月下旬から12月にかけて鮭の遡上を
見ることができる。

 鮭を見るには、岸からよりも橋の上からがいい。
メスが川底に尾びれを当て、産卵のための床をくりかえし掘っていく。
60~70cmほどのおおきさのオスが数匹、これに寄り添う。

 祐介は堤防から見る赤城山の山容が大好きだ。
今朝の赤城は、麓まで雪におおわれている。
堤防に立ってから数分後。祐介が歴史的被害を目の当たりにすることになる。
時刻は、最初の倒壊がはじまった8時15分。
悪夢のような出来事が、祐介の目の前でつぎつぎに連鎖していく・・・



(70)へつづく