勇者ポイポイの冒険
公開処刑か、実は俺もそんな感じかなぁとか思ったりした時代があった。しかしまだキテレツは見つからない。流石に焦り始めた。
「さあ準備が出来たみたいだ、出ろ!」
こっちが下手に出りゃあ良い気になりやがって。調子に乗るなよ小僧。
という台詞をいつか言ってみたい。
俺は処刑台に立たされ、魔族たちの歓声が響き渡る。
「魔王様の仇!!」
と男が言った時だった。
「その処刑!待て!」
その声の主の方を見ると、
そこにはいつか夢でみた老人がいたのだった。
老人は魔王を左手にばったばったと敵をなぎ倒し、何か魔王が居た堪れなくなった。
老人がというかもう魔王が魔物をなぎ倒してた。
ともあれ俺は命を救われた。
形はああであれ救われた。
魔王がああであれ救われた。
でも結局キテレツは見つからなかった。
その後老人とその左手の魔王と一緒にデニーズに寄った。何だかんだ会話は盛り上がり、そのノリでカラオケで粉雪を歌った。
いつか魔王と歌いたかった粉雪を、魔王を左手に持つ老人と歌った。
因みに俺のフルネームは「ヴィジャンテ・ダナ・ポイポイ」だ。
勇者ポイポイの冒険 第十一章
魔王を左手に持つ老人とカラオケで楽しんだ後、お互い別れ再び冒険に戻った。草原を歩いていると、海が見えてきた。そう、ついにこの冒険にも海のシーズンが来たのだ。
海を渡るには船が必要なので、海に面している港町に立ち寄った。
話の腰を折るが、ナポリタンはやっぱり美味しい。
港町のデパ地下には、魚類が盛んだった。盛んだなという感想だけで買いはしなかった。
漁師に聞いたところ、港の船着場に観光船があるらしい。
そういうわけで俺は早速リポビタンを飲んで船着場に向かった。
そこには豪華客船や漁船、戦艦まである始末。世界観もへったくれも無い船着場には、これまたやはり左手に魔王を持つ老人がいた。
話によると彼は人生で一度で良いから豪華客船とやらに乗りたいというピュアな理由だった。
船に乗る時間になり、老人が客船に乗ろうとした時、係の人が彼を止めた。
どうやら左手に魔王を持っていたのが原因らしい。
いいじゃん魔王ぐらい、足下に置けばいいじゃん。
勇者ポイポイの冒険 第十二章
そんなこんなで俺は客船に乗り込んだ。魔王を左手に持つ老人は残念ながら一緒に乗ることは出来なかった。
悔しかったが仕方が無い。
客船はそのまま出港した。
甲板に出ると柔らかい潮風が心地良かった。ただマックのメルマガがウザかったので、雰囲気ぶち壊しだった。
次の大陸が見えて、船を降りた。
いつもと違う空気が漂う草原は、
俺の気持ちもリセットさせた。
勢いでマリオカートもリセットさせた。
やはり違う大陸のせいかモンスターが妙に強い。急いで武器屋に向かった。
「へいらっしゃい!どれにいたしやしょう?」
品揃えもかなり良い。最強、伝説の魔剣まで売っていた。一般人が買ったらどうするつもりなんだこの店は。
新しい武器や防具を手に入れた俺は、大陸の奥地へと足を動かした。
勇者ポイポイの冒険 第十三章
荒れ果てた地に辿り着き、おどろおどろしい風景へと変わった。
そしてカロリーメイトが底をつきた。
空腹で彷徨っていると、コンビニが見えたのでとりあえず入ったら魔王がチキンライスを買っていた。
しかし話しによると彼は昔魔王と生き別れた実の弟で、兄である魔王に会いに冒険をしていたらしい。
頑張れ。
俺は彼が持っていたチキンライスを食べて冒険を再開した。
モンスターが現れた。
確かにモンスターが現れたのだが
さっき飲んだお茶のせいで横っ腹が痛くて、それどころじゃなかった。
モンスターを手懐けた。
名前は草原を駆け巡る風になって欲しいという思いから、
「草原を駆け巡る風」と名付けた。
何がともあれ、仲間が出来た。
俺は「草原を駆け巡る風」と共に先を急いだ。
勇者ポイポイの冒険 第十四章
「草原を駆け巡る風」が中々言うことを聞いてくれなかったので、
放置してきた。
結局草原を駆け巡ってくれないまま俺たちは別れた。
今思うとあれは結構ぶっ飛んだネーミングだった。
噂によると、悪の化学者はこの
城に体育座りで待っているらしい。体育座りなのかは、実は知らない。ただ言ってみただけだ。
体育座りはあまり好きなほうじゃない。膝の皿がペキッて鳴って以来好きになれない。
もう体育座りの話はさすがに引っ張り過ぎだからやめよう。
本当はもう少し話したい。でも今はまだその時じゃない。
城の中は薄暗く、仕方ないから100均で買った暗視ゴーグルを使って先に進んだ。
科学者を見つけた。
しかしどうも様子がおかしい、どうやら彼も体育座りをした時に膝の皿がペキッて鳴ったらしい。
またこの話になってしまった。
もうこの際とことん体育座りの話をしよう。
あれは、俺が小学四年生の時に……。
勇者ポイポイの冒険 第十五章
科学者の痛そうな顔を見た俺は彼の膝に熱々のナポリタンを置いて帰った。
そういえば今日は俺の誕生日だ。
誰かからお祝いメールが来るかとわくわくしていたが、ぜんぶマックのメルマガだった。母親からすらも来なかった。完全に忘れてるよ。
泣きそうになりながらも近くの町に辿り着く。
さてやることが無くなってしまった。こんなちんけな町ではWi-Fiなんて通ってないだろうし、かといって俺も人が大勢賑わう町中でラブプラスをするほど勇者ではない。
とりあえず外寒いから宿屋に一晩お世話になることにした。
「一泊300元です」
元?まてまてここは中国か?
元なんて持ってるわけがない。
「元が無いならルピーでもOKだよたびびびとさん」
インドに来た覚えも無いし、「び」が一個多い。
何だ?俺は夢でも見ているのか?
「ルピーも無いの?」
ねーよそんなもん!やめろその「常識だよ?」みたいな顔!
ここはRPGの世界だ!大体のRPGはゴールドっつー便利な通貨でまかり通ってるんじゃボケェ!
という漫画を今読み終えた。
さて、悪の科学者を倒しに行くか。
勇者ポイポイの冒険 第十六章
1人での旅は相当辛い。肉体的というより精神的に辛い。
流石に誰か1人ぐらい仲間が欲しいと考えていた矢先、近くのコンビニにやんきーがたむろしているのに気が付いた。
「何見とんじゃコルァァ」
彼を仲間にしよう。
早速勧誘してみたが、彼は実家の家業を継ぐ使命があったので仲間にするには少し難しそうだ。
方向転換、他をあたろう。
しばらく探しながら歩いていると、魔王を左手に持つ老人と再開した。「ポイポイじゃないか!元気にしとったかぇ?」
はい。
再び仲間を探しながら歩いていると、近々マイホームを建てる予定のおっさんに会った。誘ってみる。
「私なんかでお役に立てるのなら…建てるだけにっ」
1人で行く事にした。
結局誰も仲間にはなってくれなかった。何がいけないのだろうか?
いや、言うまでもないだろう。
ここでまた一つ学んだ、高望みのし過ぎは損をする。
たまには妥協も必要だな。
でもマイホームを建てる予定のおっさんは良くない。
勇者ポイポイの冒険 第十七章
冒険面倒臭い。
あー面倒臭い。
何で俺が世界を救わなければいけないのか?