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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K ゼロ 「スピンオフ」(仮題)第7話まで公開

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プロローグ



 目が覚めると、いつも耳鳴りがする。
 体が冷えているわけではないのに、暫くは足を思い通りに動かせない。

 物語はいつもここからスタートする。また彼女が目を覚ましたのだ。

 主人公は「エル」。アンドロイドSS3000のF型(女性)である。彼女は生身のボディを持ち、人間より高度な演算機能を具えた、人類の代用となるバイオロイドの開発機、所謂プロトタイプと位置付けられている。

 エルを乗せた探査船は、太陽系を飛び立った。彼女がここにいる理由、それは、人類以外の知的生命体の探査ミッションのため、百数十年かけて外宇宙への旅をしている途中なのだ。
 百数十年と言えば、人間にとっては、途方もない時間だ。うん? ワープを使えばいいって? そんな技術など理論上の話で、西暦2100年台に入っても、実現できるほど量子物理学は甘くなかった。一般相対性理論も間違いだらけ、今となってはアインシュタインの研究も古く初歩的で、一時代を築いた歴史上の誰かって感じで忘れられてる。
 だから外宇宙へのミッションで用いられる唯一の方法は、『コールドスリープ』。人工睡眠で眠ったまま旅をするってわけだ。その安全性はメーカーのお墨付きだと言うけど、人間が使うことはあまりない。・・・というより、外宇宙でのミッションは何が待ち受けているか分からない、だからもっぱらアンドロイドの仕事になるから。
 でもエルは、自分がアンドロイドであるということをに認識していない。何も感じず、単調な探査ミッションの遂行のみを期待されていた。