L K ゼロ 「スピンオフ」(仮題)第7話まで公開
ロキシーはソファに腰かけ、足を組んだ。その彼女の背後の大きな窓から、私が見たこともない大都市の夜景が見える。
「ミュウ、10年前の地球は壊滅寸前だったのよ」
「それは申し訳なかったわ、ロキシー。マザー・スーのせいね」
「いいえ、そうじゃないの。人類自らの環境破壊で、もう地球はその傷を癒すことが出来なくなっていたのよ。人類が滅ぶのは、必然だったのかもしれない」
ロキシーは真剣な目で話した。私は意外な気がして窓の外を見たけど、その景色からは当時の様子を伺い知ることはできなかった。
「こっちの地球は、高度なテクノロジーで再生しているらしいわ」とロキシーに告げると、
「ふうん、そのテクノロジーのおかげで、こっちの地球も回復し始めたのかしら」という解釈をしてくれた。
「きっとそうよ、それは火星だって地球化できるほどの技術だもの」
ロキシーは少し考えた様子で、
「でもねミュウ、人間もそんなふうに変われるのかしら」
「それは人間次第。私たちは人間のために作られて、人間がよりよい生活を送るために存在しているの。そのためにあなたたちの未来を、こっちの世界でシミュレーションしているのだから、無駄にしないで」
「ええ、確かに現実の地球にも魔法のような技術が登場して、エネルギーもプラズマが使用されるようになってきた。それは環境に悪影響がないクリーンエネルギーで・・・」
「もちろん知ってるわ。私たちの世界じゃ、常識よ」
「それに高度なアンドロイドも作られるようになったわ。それはあなたたちの世界に近付いてるってことかしら? 見た目も人間そっくりで、内部だけが機械のSS3000シリーズていうアンドロイドよ」
「え・・・、そうなの? それはきっと私のママがモデルよ。ママはSS3000プロトタイプなの」
「なんてこと? 本当にあなたたちが、私たちの世界を作り直してくれているのね」
「きっともうすぐ、私もあなたに会いに行くことができるわ」
作品名:L K ゼロ 「スピンオフ」(仮題)第7話まで公開 作家名:亨利(ヘンリー)