L K ゼロ 「スピンオフ」(仮題)第7話まで公開
第7話解説
現実の地球は環境破壊が進み、それは自浄作用では回復できなくなっていた。産業革命以来、約300年もの間、化石燃料に頼る人類は、地球に気候変動を引き起こし、地球温暖化、砂漠化を加速させ、森林破壊、海洋汚染により様々な種を絶滅へ・・・。
先進国は幾度となくその愚行に歯止めをかけようとしたが、経済発展を目指す後進諸国による負のリレーは、何者にも止めることなど出来なかった。そして成す術なく、問題は先送りにされてきたのである。
そして21世紀後半になると第5次産業革命が起こり、労働力は人間からアンドロイドへと変化していった。
その頃、リズが作った仮想世界のキャラクターたちは、自分たちを現実の存在と思い込み、地球からはるか離れた架空の惑星アップル開拓において、様々な技術を生み出していたわけだ。
そのキャラクターの一つ、マダム・スーのプログラムは、偶然、現実世界に抜け出してしまい、地球のアンドロイドの体に乗り移って、地球の現状を目の当たりにした。そして自らをマザー・スーと名乗り、諸悪の根源である人類抹殺へと動き出した歴史がある。
これも自浄作用のひとつだったのかもしれない。
この人類対アンドロイドの戦争は丸一年続いたが、アメリカ軍が仮想世界のアンドロイドたちに助けを求めたことで、無事終結。
結果、仮想世界のキャラクター達には市民権が与えられ、双方の世界は共存していくこととなった。そして、より進んだ仮想世界のテクノロジーは、すさんだ地球を浄化していったのである。
環境には自然治癒力があることは知られているが、その能力を超える破壊には対応できないと考えられてきた。しかしその考えこそ、人間の浅はかさの表れであった。
世界は何としてでも回復しようとするのである。人間を絶滅させる事が最も易しい解決方法なのか。人間にその責任を負わせていくことが最良の方法なのか。
それを運命と呼ぶなら、運命が取った解決方法は、人類が想像もし得なかったものだった。想像上の世界に自然発生的な解決策を見出させ、そのテクノロジーを現実世界に導入させることで、運命的なその道が示されたのである。
環境、自然、地球、宇宙。どの次元でこの世界を見ればいいのか我々には解らないが、人類がその中に存在しているのは紛れもない事実である。
そして現実の世界も、想像上の現実さえも、すべて一つの運命の上に共存しているのだ。
つづく
作品名:L K ゼロ 「スピンオフ」(仮題)第7話まで公開 作家名:亨利(ヘンリー)