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泉絵師 遙夏
泉絵師 遙夏
novelistID. 42743
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久遠の時空(とき)をかさねて ~Quonฯ Eterno~下

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 フーマが訊く。
 暖野は黙って頷いた。
 大きく息をして、扉に手をかける。
 その瞬間、フーマが厳しい口調で言った。
「よせ! 開けるな!」
 だが、手遅れだった。
 扉は一気に開き、猛烈な風によって吸い込まれる。
 扉の向こうに半ば投げ出された暖野を、フーマが辛うじて繋ぎとめる。
 風がおさまると、今度は下に墜ちそうになる。
「嫌よ! 怖い! 助けて! フーマ!!」
「暴れるな! 今、引き上げてやる!」
 扉の先にあったのは、深淵だった。
 ただ、真っ暗な漆黒の深淵。
「助けて!」
 暖野は叫ぶ。
 フーマが歯を食いしばり、懸命に引きずり上げようとする。
「え? な――なに!?」
 足首を何ものかに掴まれている。
「やだ! これ、何なのよ!?」
「そいつに構うな! 俺だけを見ろ!」
「引っ張られてる!」
 じりじりと二人は闇に引き込まれてゆく。
 もう駄目だと諦めかけた瞬間、何を考えたのかフーマが闇に身を躍らせた。そして、暖野を思い切り抱き寄せ、唇を重ねてくる。
 こんな状況で何をするの――?
 だが、押し寄せてくる甘美な感情に、暖野はうっとりとして目を閉じた。
 もう、これでいいと暖野は思った。
 これが永遠に続くのなら、これでフーマと別れずに済むのなら。このままでも――