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泉絵師 遙夏
泉絵師 遙夏
novelistID. 42743
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久遠の時空(とき)をかさねて ~Quonฯ Eterno~下

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「フーマは、ないの? 私が何食べてるのか」
「……あるかも、な」
「私は、ここならプレッツェルサンドが一番好き。魚のペーストと野菜の」
「そうか。それは試したことがなかった。俺も、それにする」
「じゃあ、一緒にまとめて」
「いや、ここは俺が払う」
「そう? じゃ、お願い」
 ここは、素直に甘えることにした。
 そう言えば、フーマに何かもらうのは初めてだった。彼の髪以外では。
 学院側でもこういう生徒がいることに配慮しているのか、カップルがゆっくり出来るような目立たないテーブルが幾つかある。現に他にも一組、それらしい男女が食事しているのが目に入った。
「どう? 美味しい?」
「ああ」
 フーマが言う。「これは初めてだが、似たようなものは摂ったことはある。うん、そうだな――旨いと思う」
「未来にも、こういうのってあるの?」
「あるには、ある。だが、模造品だ」
「全てが、作られた世界」
「そうだな。人間でさえもな」
「あのね、フーマ」
 暖野は言った。「こうやってね、一緒に食べるって、どんな気持ち?」
「温かい。そして、お前の近くにいることが感じられる」
「うん、私も」
「これも、愛しているが故なのか?」
「う……ん」
 暖野は少し頬が熱くなるのを感じて言う。「その言い方は、ちょっとって言うか、すごく恥ずかしい。嬉しいんだけど、普通に“好き”でいいよ」
「そうか。恥ずかしいのか」
「フーマは、恥ずかしいとかないの?」
「分からない。ただ、お前と話していると、自分の感情が妥当なのかどうか、冷静に考えられなくなることがある」
「フーマこそ、難しく考えすぎ」
「そうなのか?」
「そうよ。冷静なんて、いらないこともある」
 暖野はそっとフーマに寄り添い、頬を寄せた。