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泉絵師 遙夏
泉絵師 遙夏
novelistID. 42743
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久遠の時空(とき)をかさねて ~Quonฯ Eterno~下

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 あくまでも知識として語るフーマに、そう言うしかなかった。ただ、少なくとも彼は暖野に嘘はつかないということは確認できた。
「俺は、お前を守りたいと思っている。もっと近くにいたい。そして、ずっと見ていたい」
「……」
 それは、ただ愛しているとか好きとか言われるよりも、くすぐったく感じられた。
「これでは、駄目なのか?」
 黙り込む暖野を見て、フーマが言う。
「ううん、そうじゃないの。ただ、嬉しいだけ」
「そうか」
「私も、フーマの近くにいたい。守られるだけじゃなくて、助けになりたい」
「そう、思ってくれているんだな」
 気持ちが昂る。
 だがここは女子寮の敷地、感情のままに触れ合うことは慎むべきだった。それでもここに留まっているのは、ひとえにフーマの足を気遣ってのことだった。
「私ね」
 暖野は言った。「誰かに好きって言われたの、初めてなの」
「そうか」
「それで、何も考えられなくなって舞い上がって……」
 フーマが何も言わずに、次の言葉を待つ。
「フーマが、私に言ってくれたこと。――自分を信じろって。それがすごく嬉しくて」
 暖野は息を継いだ。「それから、全部一人で抱え込むなって言ってくれて」
 涙が零れてくるのを、暖野は感じた。「私、ホントに嬉しくて、フーマなら信じられると思って――」
「泣くなとは言わない」
 フーマが、暖野の肩に手を置く。「お前は、いつも充分過ぎるほどにやってきた」
「ごめん、フーマ」
 暖野は溢れ出す涙を止めることも出来ずに言った。「私、泣くつもりなんてないのに、こんなに――」
「大丈夫だ」
「何が――何が、大丈夫なのよ」
「暖野。信じろ」