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泉絵師 遙夏
泉絵師 遙夏
novelistID. 42743
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久遠の時空(とき)をかさねて ~Quonฯ Eterno~下

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 風が冷たくなっている。遠くの湖面が滑らかさと輝きを失っているのが見て取れた。
「分かりました。ノンノは中で待っていてください」
 マルカは、トイの去った方へと急ぎ足で向かった。
 それを見送り、暖野は灯台の建物に向き直る。ここはちょうど、浜への道の反対にあたるようだった。つまり、灯台の裏手ということになる。
 山での経験から、暖野は雨が降り出すまでそう時間はかからないはずだと判断した。15分、いや、10分保つか保たないかだろう。
 こんな状況で雨に降られるとは、まさに最悪だった。今まで全くそんな気配もなかったのに、ボートを失って船にも戻れないこの状況で。
 低く垂れ込める雲。樹々を騒めかせる風。それらは必要以上に不安を煽った。
 暖野はそれを振り払うかのように首を振ると、入口の方へと歩いた。