久遠の時空(とき)をかさねて ~Quonฯ Eterno~下
あれから、どうなったのだろう――
学校のある世界は、今も全てが停まったままなのだろうか。
何とも言えぬ罪悪感が湧いてくる。
暖野の現実世界、統合科学院、そのどちらも暖野の時間から完全に切り離されてしまった。
フーマは、あの後どうなったのだろうか。彼は暖野がいなければ隠し部屋を見ることが出来ない。
全て自分のせいだと思うなと、フーマは言った。
でも――
どうしてもフーマが出てくる。
この曲がいけないんだわ――
ジュークボックスからは、静かながらロマンティックなメロディが流れ出している。実際に立つ必要はなかったのかも知れないが、暖野は機械の前まで行って停止ボタンを押した。
再び静寂が訪れる。
リーウ、どうなったのかな……
次に訪れるのがいつになるのかは分からないが、その時はこれまでと変わらぬリーウに迎えられることを暖野は願った。
無駄にあれこれと考えているうちに、東の空が白み始めていた。途中何度かうたた寝くらいはしたかも知れないが、自分ではずっと起きていたつもりだった。
今更になって眠気を憶える。
時間の感覚が曖昧になっていた。ここでは間もなく朝なのに、体の方はそうではないらしい。
これはリーウが言っていた時間酔いではなく、正真正銘の時差ボケだと暖野は思った。
作品名:久遠の時空(とき)をかさねて ~Quonฯ Eterno~下 作家名:泉絵師 遙夏