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泉絵師 遙夏
泉絵師 遙夏
novelistID. 42743
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ようこそ、伊勢界トラベル&ツアーズへ! Ⅱ

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「でも、あそこに戻したら、いつか殺されるんじゃ」
「狩場から離れた場所に戻します。それは、元々あそこにはいない種なのです」
 うん、そうだよね。
 迷子だもんね。
「ふにゅ~」
 うんうん。いま、返してあげるからね。
「ふにゅ~」
 え? いや、駄目。なんでそんな所に潜り込むの!
 社長が、じっと私を見てる。
 いや、だめ! くすぐったいってば!
 いっ……。
 ぷるぷる、ダメ……
 あ……、ん……ぁん……。
 ばんっ!!
 強めに叩く。
「随分と懐かれたようですね」
「いや、その……」
「しかし、元の世界に返さないと、数時間と命は持ちませんからね」
「はい……」
 可哀想だけど。
 シャツの内側から、子スライムを引っ張り出す。
 ぐったりしてるそれを、社長に差しだす。
「いえ、それはあなたの手で帰してあげてください」
 社長は自分の席の端末を操作し、前と同じように応接セットの壁を指す。
「ごめんね」
 私は、スライムを持った手を額の方に伸ばす。
 腕まで差し入れた時、スライムが目を覚ました。
「ふにゅ~」
 哀しそうな眼。
 戻ってこようとする。
「だめよ」
「ふにゅ~」
「ふにゅ~」
 思いっ切り遠くへ投げる。
「ふにゅ~…… … 」
 哀れを誘う声が遠ざかっていった。

 そのあと、私は例のちゃんこ饅頭を社長に渡してオフィスを出た。
 ドアの横で、さやかさんが震えてる。
 どうしたんだろう?
「さやかさん?」
 え? 何? 泣いてる?
「社長さん、怖い」
「そう?」
「だって……」
 調子こいてると、異世界に封印すると言われたらしい。
 言われたっていうか、念を感じたんだって。
 さっきの子スライムのこともあって、ちょっと可哀想に思った。
「さやかさん」
 声をかける。「口直しに、美味しいものでも食べに行こっか」
 まあ、その後どうなったかは、ご想像にお任せします。
 じゃ、またねー
 バイバイ。