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和ごよみ短編集

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「あずさ、お手伝いありがとう」
あずさは、少し照れながら自分の席に座りました。
「じゃあ、年始のお疲れも癒して、今年もむぼうそくさい あれ? むぼ、むぼう…」
「とぉと、おしゃべりおかしいね」
「あずさは、ちゃんと言えるようになったのにね。むびょうそくさい(無病息災)」
「そう、それ。みんなが健康で 母さんも元気で長生きしてよ」
「あなた、長い」
「わかった。じゃあ、いただきます」
「「「いただきます」」」


座敷に開かれたままの絵本の中に わかなさんが笑っていたことは、誰も知らない。

ことこと七草囃子を 詠いながら……




     ― 了 ―




『人日の節句(じんじつのせっく)』といわれた時代から その呼び名で祝うことがなくなった現代でも お正月の胃腸の疲れを休ませ、病気にならないようにと願いながら食す七草粥や青菜を入れたお粥を戴くこの日を忘れないでいたいものですね。


     芹(せり)   薺(なずな)  
     御形(ごぎょう)   繁縷(はこべら)         
     仏の座(ほとけのざ)  菘(すずな)  蘿蔔(すずしろ)

          これぞ春の七草

         無病息災と長寿を願う 




作品名:和ごよみ短編集 作家名:甜茶