おしゃべりさんのひとり言【全集1】
その6 あおり運転
最近のニュースで身近な話題になっている「あおり運転」
誰もがその被害に遭う可能性があるよな。
と言うより、遭ったことがある。
僕は昔走り屋だった。
小型スポーツカーで峠を走り、交通ルールを無視してバトルを繰り広げ、見物人が多いギャラリーコーナーでは、ドリフトの腕を競っていた。
22歳の頃までの話だけど。
その時あおられるのは当たり前のことで、そいつをぶっちぎるか、道を譲るかでお互い楽しんでいたな。
最近のあおり運転は全く意味が違う。
高速道路でやっちゃ逃げ道がない。譲っても、先に行ってくれない。
これをあおり運転と言っちゃいけない。
「からみ運転」だろ。
TVのコメンテーターの言葉は薄い。
窓を開けちゃいけないとか、動画を撮れとか、110番通報するべきだとか。
実際の被害者は、そんな輩に絡まれたら逃げたいに決まってるし、一人だと電話も動画も無理。
信号では止るしかないし、そうなってしまえば、相手が降りてくるかも。
来ちゃえば、車に傷を付けられるかも。
窓を割られるかも。
後続車に追突されるかも。
殴られるかも。
ナイフで刺されるかも。
殺されるかも。
冷静な対処の余裕は絶対にないよ。
動画がしっかり撮影できてないと、被害届出しても証拠不十分。
目撃証言がないと、裏付けが取れない。
恐怖の時間をやり過ごせれば、結果良かったってことになる。
だから、最初から相手の感情を逆なでするような行動は控えよう。
スマホで動画撮ってたら、電話を掛けてる姿を見られたら、逃げようとスピード上げたら。
全部逆効果。相手は逆上するよ。
動画はドラレコで、360度カメラを搭載しておこう。
電話はハンズフリーの車内リンクで話そう。
逃げないで、人目の多い場所で止まる。
これくらいしか、対処できることはなさそう。
え? 高速道路で、道を阻まれて相手が降りて来ちゃったら、どうすればいいって?
うーん。轢き殺しましょうか。(あかんあかん、こら!)
作品名:おしゃべりさんのひとり言【全集1】 作家名:亨利(ヘンリー)