オヤジ達の白球 61話~65話
(くもりガラスを手でふいて・・・か。まるでさざんかの宿みたいだな)
結露を手でぬぐう。ガラスの感触が手のひらに冷たい。
表の様子が見えてきた。
庭は全面真っ白だ。それいがい、何も見えてこない。
(まだ薄暗いな。夜明けの前かな?・・・)
この頃の日の出は、6時30分頃。
雪はまだ小やみなく降っている。明るくなるのはすこし遅くなるだろう。
(まだ降り続いているのか。ずいぶん大量に積もったもんだ)
祐介の目が、雪の中にくぼみを見つける。
(なんだ・・・雪の中に、出来たばかりのようなクレーターがあるぜ)
クレータはひとつではない。
建物と平行に、ふぞろいの大きさのクレーターがいくつも並んでいる。
ドスン。またひとつ。上から何かが落ちてきた。
雪煙をまきあげたあと、地面へにぶい衝撃音をひびかせる。
(雪のかたまりだ。それも氷結した雪のかたまりだ!。そいつが2階の屋根から落ちてくるんだ。
物音は、そのときの衝撃音だ)
作品名:オヤジ達の白球 61話~65話 作家名:落合順平