小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

オヤジ達の白球 61話~65話

INDEX|15ページ/15ページ|

前のページ
 


 途中から雨音を聞いたような記憶がある。
風も強まったようだ。(荒れた天候になって来たようだなぁ・・・)
そんな感想をぼんやり抱きながら、そのまま眠りの中へ落ちていった
記憶がある。

 (雨がふると積もった雪が水気を含む。
 そこへつめたい強風が吹きつければ、氷のかたまりが出来上がる。
 そのかたまりが、2階の屋根から滑り落ちてくる。
 そいつが雪の地面に、クレーターのような穴を開けるんだ)

 眠っているあいだに雪が重みを増していたんだ・・・と祐介が、ぼんやりした頭で考える。
水をふくんだ雪は想像を超える重量になる。
しかも雨は一時的なもので、いまはまた雪に変わり、それはいまも
降り続いている。

 (あ・・・)

 祐介が急に覚醒する。

 (屋根から落ちる氷のかたまり・・・まずい!)

 車は玄関の直前に停めてある。
停めた車の真上に、2階からひさしが突き出ている。
愛車へ氷のかたまりが落ちる可能性がある。直撃したらたいへんな事になる。
祐介の予感が的中した。

 毛布をはおり、表へ飛びだした祐介がみたものは、変わり果てた愛車のボンネットだった。
屋根に大量の雪が降り積もっている。
ゆうに60㌢はあるだろう。
しかし。ボンネットの上に雪は無い。

 そのかわり。2ヵ所に、ハンマーで殴った様なへこみが出来ている。
2階のひさしから落ちてきた氷のかたまりが、ボンネットを
直撃したのだろう。
凹んだボンネットの様子を見て、祐介がおもわず苦笑をうかべる。

 (雪が凶器になる事実を、おれは、産まれてはじめてこの目でみた・・・)

 祐介が毛布にくるんだ身体を、おもわずぶるりと震わせる。

 (66)へつづく