小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

オヤジ達の白球 61話~65話

INDEX|11ページ/15ページ|

次のページ前のページ
 


 この2つの分類は少々厄介だ。
雪見障子はつねに下半分から外が見えるもの。
猫間障子は小障子を降ろせば、すべてが障子のように見えるもの。
と解釈すればよいだろう。

 生垣の上に積もった雪が風にあおられ、どさりと落ちた。

 「ねぇ祐介。知ってる?。雨と雪のちがいを」

 陽子が4本目の熱燗を持ち上げる。

 「あめかんむりは、空から落ちるしずくをあらわしたもの。
 雨の下にヨという文字を書き足すと、雪になる。
 このヨは、箒を省略したものなの。
 白く降り積もった雪は、箒で掃くことができる天からの贈り物という
 意味になる。
 しずくは地面に浸みこんで消えるけど、雪は掃くことができるのよ」

 「雪は掃くことのできる天からの贈り物か。なるほどね。
 だけどよ。どうやら箒じゃ掃けないほど積もって来たぜ、この雪は」

 「どのくらい積もったかしらねぇ?」

 「30㌢は越えたかな?。ここまでの雪を見るのはひさしぶりだ」

 「ホワイト・バレンタインデーのはじまりかぁ。
 うふふ。なんだか、いきなりロマンチックな展開になってきましたねぇ」
 
 陽子が小障子をパタンと降ろす。
外からの寒気がいっきに遮断される。
室内にあたたかさがよみがえってきた。

 「よほど冷えていたんだな。
 小障子を降ろしただけで、急に、部屋の中があたたかくなってきたぜ」

 「あら、そう?。わたしはそれほど感じないけど。
 鈍感になっているのかしら。熱燗のせいで、酔っぱらっているのかな?」

 「酔ってるみたいだ。目元がほんのり赤くなってる」

 「酔っぱらったついでに、本音を吐いちゃおうかな」

 「おだやかじゃないねぇ。なんだ、本音というは?」