小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

欠けた月の暗闇の中

INDEX|5ページ/12ページ|

次のページ前のページ
 

下弦の月へ


加奈は麟が3歳になるとバイオリンを習わせ始めた。5歳になった麟は、加奈が見込んでいたような才能がないことに、加奈は落胆した。加奈の指導が悪いのだと加奈は一流の教室に通わせた。
 発表会では、独奏できるまでになっていたが、加奈は満足できなかった。教室から帰った後も加奈は、麟にバイオリンの練習をさせた。
 麟はバイオリンの練習が嫌いになり始めていた。部屋からバイオリンの音が聞こえないと、加奈は麟を叱った。
「バイオリンは嫌い」
 麟のその言葉に、加奈は麟のほほを平手打ちしていた。5歳の女の子は、床に倒れた。
 そのことが原因だったのかは定かではないが、麟は軽度の難聴になっていた。あまりに音を外すことが多くなり、教室の担当教師が、耳鼻科まで連れて行ってくれたのだ。鼓膜が破れていると診察された。その教師は加奈にそのことを報告し
「これからバイオリンを続けるのでしたら、精密検査をされたほうがいいですよ」
 と言ってくれた。
 加奈はその時自分が麟のほほを殴ったからではないかと、後悔した。
 CT検査で耳小骨も骨折していることが判った。手術することになった。
 手術後、麟の聞こえ方は正常になったのかも知れなかったが、麟はバイオリンの練習を拒否した。加奈は苛立ちから麟を再び殴ってしまう自分への恐怖心もあり、そのことは認めざるを得なかった。
 バイオリニストとして一流になる自分の夢を、麟に託した加奈であったが、その夢も消え去ったのだった。
 
作品名:欠けた月の暗闇の中 作家名:吉葉ひろし