欠けた月の暗闇の中
廣木に似ていると思うと、加奈は宮本を廣木と思い込み始めた。アルコールのせいなのだろうかと加奈は思ったのだが、宮本が親しそうに
「美しい」
と言葉をかけると
「お座りになりませんか」
と宮本に言葉をかけた。
宮本は
「お酒頼んでもよろしいですか」
と加奈に訊いた。
「ビールでしたら部屋に有りますわ」
「ビールでお願いします」
宮本は加奈とはベットインできると確信した。宮本が自負できることは、どれだけ短時間で女性をものにできるかと言うことだった。
「乾杯しましょう。今日の演奏の素晴らしさに」
宮本は加奈の腕に自分の腕を交錯し乾杯した。加奈の顔を近づける宮本の演出であった。
お互いにグラスを置くと、そのまま、キスを交わした。ビールの臭いは、悪臭なのだが、宮本は気にはならなかった。本当に愛する女性であれば、気にかかるはずなのだが、加奈は一夜の女だと思っていたのだ。
青春の爽やかなくちづけとは全く別な動物的な行動であるから、宮本はそのまま加奈をソファに倒した。
バストに唇を当てると、加奈は
「電気を消しましょう」
と言った。そして立ち上がると、そのままバスルームに消えた。
宮本はコップにビールを注ぎ、飲み干すと、全裸になった。そのまま、バスルームに入って行った。