時代の端っこから
三
僕は軍艦島という言葉と諒一兄ちゃんが見せてくれた画像が気になって、自分なりに調べてみたいと思い学校帰りに図書館に寄ってみた。調べれば軍艦島というところは案外資料があるようで、僕が知らないだけでそれは有名な場所のようだ。
長崎県・端島
長崎港から南西20キロメートルたらずのところにその島がある。長崎市から船で行くといくつかの島があり、その南端が端島と呼ばれる島だ。
昔はそれこそただの島だったが、19世紀の始め頃に良質の石炭が発掘さた。産業革命の代名詞とも言える蒸気機関、これを動かす原料となるのがこの石炭だ、当時は「黒いダイヤ」とも呼ばれた国の工業化を支える重要なエネルギー源だ。
近代の産業革命の発展とともに国は石炭の採掘に力を入れそれに伴い島の護岸工事が段階的に進められ、大正時代には既に本来は南北およそ320メートル、東西およそ120メートルという狭い狭い島に軒並み鉄筋の団地が建ちいつしか外観が軍艦のようになり「軍艦島」と言われるようになった。
じいちゃんが現役だったとされる昭和の中頃は、島はほぼ完璧な都市機能を有していて、人口密度が東京のそれをはるかに越えて世界で一番だったとされている。
自然環境の観点からすれば無視したようにも見えるが、産業と機能性を重視した究極の形がそこにあり、僕はその姿にすっかりとりこになった。
あとは時間が無くて詳細には調べられなかったけど、昭和49年に最後の島民が離島して以後現在は無人島となっているようだ。
今日僕が調べたのはここまで。チャンスがあれば現地へ行ってみたいと思うようになったのは言うまでもなかった。