小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

皮膚の下は他人

INDEX|5ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 

男は張り切って、女の上におおいかぶさる。女は男根をつかんで、自らの穴に導いた。つるつるの女性自身と遊ばせている。男は自身を握りしめなおして、花心の周囲やクリトリスをなでまわす。女の感度がよいのは一度目で分かっていたから、何事もていねいにすすめねばならない。
「道具のように使ってみて」
女に肉棒を渡すと、女は肉棒をまるで性具のように操って、肉穴の入り口あたりをなぞる。そして、クリトリスをこする。
「クリトリスとここは友達やから、仲好しやから」
「なかよしやね」
女はクリトリスをこりこりと刺激した。
「こすって、て言って見ろ」
女の表情が変わる。感覚が深まっていくようだ。一瞬、ガクガクとからだ全体をひきつかせてのぼりつめる。今晩、二度目だ。しかもクリトリスだけで。
「いったのか」
「いった」
女の興奮が収まるのを待って、男は自身を女性自身にあてた。挿入はまだ我慢である。
女は腰を浮かせて、熱塊を迎え入れようとする。悩ましい動きだ。その形をたしかめるように、腰をまわす。
「下の口でなめてるのか」
「下のお口でなめています」
股を開き、腰を持ち上げて、男根の進入をうながそうとする。
腰高の姿勢のまま、巧みに動くから、男も耐えられなくなる。
ゆっくり、挿入する。
「あーー、あー」
とため息をつく。
いったん、入り口でとどめる。女は腰をまわして、肉棒のかたちをなぞる。心底から、男が好きなのだ。
お互い、先端部分だけで交わっている。
「なかなかいいね」
「いいですか」
「あなたの形をたしかめているのです」
「いいおんなやね」
だんだん、腰が落ちていき、男根が吸い込まれるように包み込まれる。
「汁が出てくる」
「汁が出てくる」
とうわごとのように言う。
二度目はすーと入った。お湯のようにあふれているから、ぬるぬる状態だ。
「二度目がいいですか」
「不倫してきたあと、やるみたいやね」
「すごくやわらかい」
「やわらかくしといたから」
女の表現はおもしろくて、とても気に入った。
「さっきは密着感があってよかった。二度目はぬるぬるで出し入れしやすい」
「二度、楽しんでね」
ぬるぬるの女性自身は、おもしろいほど出し入れしやすくなって、楽しんだが、このまま終わったのでは平凡すぎるからと男はあらたな刺激策を考え始めた。

10アヌスをさしだす
「お尻に入れられたことある」
「ええ」
女が肯くので、お尻に人差し指をゆっくり入れていく。すっと入る。
「どんな感じ」
「いいよ」
女は男に、青春時代の、穴なら何にでも入れようとする恋人の探求心について、解説した。男は女の話に聞き入った。まるで、この場に三人、居るように思われた。
「前にも指、入れてみて」
親指を女性自身にいれると、うすい肉一枚でお尻と花芯がつながっている。男の指が重なって動く。女の指示が手なれていて、的確だ。
「お尻に指入れて大丈夫よ。ゆるめておいたから」
大胆なことを言う女だ。
「汚くないのかな」
「人間てね、自浄作用があって、お尻もきれいんですよ。」
「そうなんですか」
「指でゆっくりとかきまわして、刺激をあたえてから、奥のほうまで入れていくと、きゅっとすぼまるところがあります。そこまで入れて、くつろげてください」
「ふーん」
異次元の世界を解説されて、ただ感心するほかない。お尻の入り口をすぎると、たしかに指が滑り込む。粘液が出ている。
男はしかし、穴ならなんでもつっこみたくなる青春を思い起こす。お尻に入れるという異端の感覚が男を昂揚させていく。
人差し指はお尻に、親指が花芯に入る。二つともに、濡れている。お尻も粘液で満たされて、指がすべりやすくなっている。
うすい皮一枚をはさんで、指が重なっている。女はうっとりとその感触を楽しんでいる。
「お尻に入れてもいいですか」
「いいよ」
女はうつむく。女のお尻にちんぽをあてる。入り口の感触をゆっくり楽しむ。
「一気に入れて」
女の言うことは刺激的すぎる。こういうことはゆっくりすべきではないかと、男はとまどっていると言うのに。
男根を押し込もうとするが、すすまない。迷っているうちに、するっと入った。
「押し込んで」
女が言う。一気に押し込まねば、と男は力をこめた。ぴたっと包み込まれている。動かずじっとしている。
「なかで出さないでね、お医者さんに行かなくちゃならなくなるから」
女は、旦那が中で射精して、膀胱にばい菌が侵入して入院する羽目になったことがあるのを説明した。
それならますます動けない。女は締めたり緩めたりしている。けっこう、訓練しているのだろう。
「お尻とあそことはつながっている、両方を動かせるのよ」
「ぴたっと、こいつがくっついている、この感覚はいい」
動かずじっとしているのに、ちんぽが反応し始める。
「出そう、抜くよ」
女に告げて、ぴくぴくし始めて射精しかかったのを抜く。
達成感がないから、どうしようかと男は迷った。お尻に入れたあと、女性自身に入れるのはばい菌のことがあるので、はばかれた。ふと思いついて、男根を花芯の入り口にあてる。女は息を詰めるようににして男の動きを受け止めている。その表情がよいと、男は感じ入った。入り口だけでの接触で満ち足りているかのようだ。
男はこの女の許容力の深さに感動した。おおらかなのだ。花芯の入り口にあてながら、自分で自身をしごくと、どっと射精した。
「だしたの」
「だしたよ」
「よかった、ださないと悪いと思った」
「十分、満足したから、もうほんとに」「ありがとう」
一方的に性欲を果たしたようで、後味が悪かったが、女の笑顔をたしかめて男はホッとした。
「とてもよかったわ、こちらこそありがとう」
終わりまで女のペースだった。男はまるで完封された思いだ。男はまったくあたらしいパターンの性愛を振り返りながら、もうおたがい、うちとけあっていることに気がついた。満ち足りた思いにひたって、眠りについた。

11朝帰りする女
未明から払暁か、ほの明るくなってくる。睡眠時間は短いはずなのに、疲れは感じない。男は女に声をかける。もう別れるべき時間がきている。名残惜しいから、
「ゆっくりできないの」
と男は尋ねる。
「だめよ、もう」
女はもう何の未練もないかのようにきっぱりと言い切るのだった。
「よかったよ」
「ありがとう」
女は身繕いし始める。
「こんな時間に帰るんですか」
「登校する子供たちと出会うのがいやなんです」
なるほどと男は納得した。
「朝帰りがばれたらどうするんですか」
「どう抗弁するかですね」
抗弁とは法律家の用語ではないか。彼女も旦那もそう言う世界の人なんだと直感した。もう会うことはないだろう。しかし、男には純米酒を味わったような感覚が残った。上質な女だった。
男は、女に対する、と言うか、女の性交に対する考えが変わった。女はあくまで受け身で、性交は男が主導するものだと、これまで考えていたし、そう考えなければ、男性自身が立たないのだったが、そうでないこともあるのだ。そのことをこの女との一夜で気がついた。
作品名:皮膚の下は他人 作家名:広小路博