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皮膚の下は他人

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花芯をかるくたたく。女はじっと意識を集中するように目をつぶっている。強くたたく。女が耐えているように思えて、ベルト責めの効果に酔う。
「ここ、たたいてよいか」
「そこ、たたいてください」
「いやらしいところ、たたいてください」
男は我慢できず立ち上がって、ベルトをふりおろす。なにをしても良い気持ちになってくる。女が悪いのだ、刑の執行人の気持ちになる。
「悪いこ、て言ってください」
女も受刑者の心理に陥っている。二人でともに盛り上がっていく。マゾでない女はいないと、この女で確信を深めた。
花芯はびしょびしょになっている。

7猥語を叫びだす
「入れてもいいか」
「今日は大丈夫、そのまま入れてください」
男は女の足の間に割って入ると、ゆっくり、入れていく。
「もっと、中まできてください」
女が男を煽る。男は遠慮を捨てて、押し込んでいく。
「大きいわ」
「大きい方か」
「大きいのよ」
女が断定する。男は自信を深めてさし込んでいく。
性器どおしがくっついている。愛液はあふれていたはずなのに、摩擦感があって男はたちまち満足した。いい女だと思った。入れたまま、接触感を味わっていたら、女が注文を付けてくる。
「奥まで来てください」
女がリードしている。男が従う。
奥まで行きつくと、女が叫ぶように大声をあげる。
「あなたの、いい。おとこ、好き」
男はあわてて女の口をふさいだ。ふさがれると、いっそう切なげな表情をしめし、息を詰めるようにして快楽への道をたどっている。
いきなりの卑猥な言葉に衝撃を受けて、男はたじろいだ。とっさに考える。このような女にはとてもふさわしくない。声を出すのも、隠語を使うのも、旦那の教育ではないかと想像した。これでは、不倫妻のつまみ食いだ。男が遊ばれているのだ。落ち着いて状況を把握しようとする。はっきりしてきたのは、隠語を使って思いっ切り解放されているのではないかと言うことだった。きっと。
「おとこ、好きか」
女の口をふさいだまま、耳元でささやいた。
「大好きです」
「あなたの、いい」
とうめくように答えた。
「ちんぽ、て言うのか、いつも言うのか」
「いつも言います。盛り上がるでしょ」
「そうかも知れないけど、ちょっとびっくりする」
「旦那に教えられて、そうなのかと」
「男の人が喜ぶから」
「喜んだね」
「いやらしいこと、たくさん言わせるんです」
「いやらしい言葉で感じるんや」
「言いたいことをね、言わされるようにね、頭の体操をしながら盛り上がっていくの」
しゃべりながら、恍惚感をあらわし、
「ちんぽ、ちんぽ」
と声をあげる。
男は女の言葉に煽られて動きを早まる。言わされているのではない。言っているのだ。男をそそのかしている。
子宮が、ぐ、ぐっと動く。自分で頂点に達したようだ。男はまだ硬い一物を抜く。抜くとき、とろとろ汁があふれ出てくる。この乳液のような愛液は女の本気汁だ。男は女の快感レベルから取り残された思いがしたが、余力を残すことができたので、いったん、休戦することにした。
「出たの」
「出たよ」
と取り繕って肯いた。
「全部、吸い取っちゃったみたいね」
「よかったか」
「よかったわ、ほんとうに」
絶頂に達したはずなのに、女はもうさめて平気な顔をしているから、これまでのタイプとは違う。ほかの女は演技だったのか。まったく理解できないまま、流れに委せることにした。

8頭でセックスする
男は女に添い寝する。
「旦那さん、どんな人」
「大学の先輩で、まわりが言うので、なんとなくつき合い始めて」
一年生の年末が初体験だった。帰省せずにいたら、ちょっと寂しくなったこともあり、相手も卒業間際だったからと話し出す。
「すごく潔癖症で、セックスは結婚してからと思いこんでいたから、セックスすれば結婚するものだと」
「まじめだったんですね」
「父が頑固者で、裁判官でしたが、保守的なんです。」
「裁判官って、人権感覚があるのでは」
「そうではなくてね、まず治安意識が働いて、体制を守ろうとするから意見が異なり、よく喧嘩しました」
「そうなんですか、知りませんでした」
卒業してもアパートに遊びに来ては、して帰る。初めての男性だったけど、結婚するものと思いこんでいたので、じっとがまんしてついていこうと。
「すごく頭のよい人で、かなわなかったし、男のパワーというか力強さに圧倒されて、参ったという感じでした」
「性欲処理をしにきたという思いでしたが、男の性欲とは、セックスはそう言うものかと思ってました」
スキンを使ってしたから、今思えば感覚がもう一つだったけど、するたびよくなっていった。男性の性欲処理に使われていても、身体が反応するようになったことをたしかめると、恋人は喜んだ。お互い20代だから、もう数をこなすという感じで、会えば何度もやった。学生アパートなので、あまり大きな声をあげられないのが欲求不満で、ときどきレジャーホテルを利用した。
「ホテルでは大きな声を出してやったわ。」
「婚約して、旦那の親元にあいさつに行ったとき、声をだすなって言われながらしたときは、燃えました。」
男はその設定には理解できた。女は性交に対する禁欲と解放とで揺れ続けてきたのだ。今もそうに違いない。いや、そうではなくて、身体の恋愛の自由を確立して、解決しているのかも知れない、男は女を評価した。
「結婚するともうなにしてもよくなって、いろんなことをしたし、旦那もとても研究熱心で、つぎつぎといろんなことをするんです」
「いろいろなことって」
「道具を使ったり、縛ったり、なにか変でしたが、男がしたいことはそう言うものかと自分に言い聞かせて、その他はまったく平凡な夫婦なんです」
「それは三段階論やね」
「段階論は差別の思想ですよ」
「そうでしたか、それは知らなかった」
女は問わず語りに性生活をしゃべる。本当のことをいっているのだろう。女は初め、よくあるパターンだが、性欲処理に使われた。結婚すると、女も男も身体の相性が合えばだが、肉欲を追求する。そのあと、どちらかに不満が生まれるか、身体と心とにアンバランスが生じれば、性欲は後退することなくさらに高いレベルでの解消を求め始める。
女も、女が自分の性的な過去を他人にさらけ出すようにしゃべることに、そして男はそれを聞くことに、奇妙な感覚に襲われた。内面をさらけ出しいき、丸裸になっていく。丸裸になっていく自分がいて、それを見ている他人がいる。
「道具を使うんやね」
「道具を使って、一度はいかないと、入れてくれないんです」
「道具ね、身体も道具かも知れないね」
「あなた、うまいこと言うわね、おもしろい」
「ほめていただき、ありがとう。ことばも道具だし」
「分かるわ」
お互い、理解しあった恋人のような雰囲気を感じて、抱き合った。
「ちょっと、寝ようか」
「ええ」

9道具が好き
真夜中に目が覚めると、女は裸で寝ていた。足を広げている。男は手を伸ばして、花芯に触れる。
「うーん」
と甘えた声を女が出す。男性自身が硬くなる。
「しようか」
女が手をのばして、男をつかむ。
「硬くなっている」「すごい」
とおだてようとする。
作品名:皮膚の下は他人 作家名:広小路博