小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

一人旅の勧め

INDEX|6ページ/14ページ|

次のページ前のページ
 

硫黄山
ここで言う硫黄山とは、北海道の摩周湖の側にあり、現地の言葉でアトサプリと呼ばれる山のこと、もしくはその山の麓一帯のことを指す。
アトサプリは火山で、硫黄山一面に硫黄噴煙が噴き出す噴気孔が露出している。
学生時代に訪れたときは、まだマイナーな観光地で訪れる人も少なく、どこにでも自由に入って行くことができた。巨大な噴気孔の傍らで撮影した写真が残っている。
しかし、20年近く経過して家族で訪れたときは、わりと有名な観光地となっていて観光客が大勢訪れていた。そして、斜面にずーっと柵が設けられていて、立ち入れる場所がかなり限定されてしまっていた。
高温の火山ガスが噴出しているので、観光客の安全対策のためなのだろうが、昔を知っている人間からすると、いささか残念な気持ちになった。

カムイワッカの湯の滝
カムイワッカの湯の滝は、北海道の知床半島にある、文字通り滝壺が温泉になっている滝だ。下流から上流にかけて複数の滝があり、上流に行くほど湯温が高くなっている。川を徒歩で遡らないとたどり着くことができないため、若干の沢登の装備や知識・技術が必要になる。
学生時代に訪れた際には、同宿の若者男女混合の数名で川を遡ってたどり着き、脱衣所も仕切りも無いので、お互いの入浴中は背中を向けているという紳士協定を結んで、男女交代で入浴した。
ところが、20年近く経過して家族で訪れたときには、行けるのは一番下流の滝までで、それより上流は立ち入り禁止となってしまっていた。一番下流の滝は湯温が低く、とても入浴には適さない。
とても残念だった。

この2例以外も、先に挙げた西表島のピナイサーラの滝は、落水地点のずっと手前に柵が設けられていて落水地点に近寄れなくなっていたし、千葉県にある鋸山には、「地獄覗き」と呼ばれる崖上に突出した岩があって絶景が見られるのだが、昔は柵など無くて非常に危険ではあるものの、自己責任でその突端まで行くことができた。今では柵がぐるりと建てられていて、突端まで行くことができなくなっている。
これらの措置は、いずれも観光客の安全対策ということは理解できるのだが、一方で、何らかの事故が発生した場合に、管理不備で訴えられるのを防ぐためもあるのではないかと思う。
昔は、事故が起こっても自己責任と納得し、管理責任者を訴えようなんて考える人はいなかったんだろうな。
作品名:一人旅の勧め 作家名:sirius2014