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一人旅の勧め

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旅先で道を尋ねられる


どうも私には特殊な才能があるようだ。それは、よく道を尋ねられるという才能だ。もちろん、こんな才能をもっていても1円の儲けにもならないので、無駄な才能だと思う。私の他にも、過去に同様の才能を持っているという人と会ったことがあるので、本当にレアな才能ではなくて、比較的ありがちな才能かも知れない。あるいは、才能と言うよりも何か、この人だったら何か尋ねても大丈夫、といったようなオーラが出ているのかも知れない。だとしたら、なんとかそのオーラの駄々洩れを防ぐ方法はないのかと考えてしまう。人に親切にするのは、自分にとっても気持ちが良いものだが、急いでいるときに限って呼び止められて道を尋ねられるというのは、結構面倒なものだ。
自宅近辺でも、過去に何度も道を尋ねられた。最寄り駅までの道を尋ねられることが多いのだが、一度、隣市にあるとある私立大学への道を尋ねられたことがあった。高校生くらいの若者2人連れだったので、おそらく大学の下見か大学で何かイベントが開催されていたのではないかと思われるが、とても徒歩で行ける距離ではない。
それでも一応ルートを教え、徒歩で行ったら2~3時間かかるよ、と言い添えた。2人の若者はそれでも元気よく歩き出したので、本当に歩いて行ったのかも知れない。
困るのは、旅先でもよく道を尋ねられることだ。
記憶に残っているのは、大阪の日本橋で買い物をしていたときと青森の市街地をホテルから駅に向かって歩いていたときだ。
実は、いずれも旅行ではなく、仕事の出張で来ていたときだった。
まあ、私にとって仕事の出張も旅行のようなものなので、一緒くたに考えてしまう。
仕事での出張中だったので、日本橋ではスーツだったが、青森は移動日だったので私服だった。スーツを着て日本橋辺りをうろついていたら地元のサラリーマンと思われても仕方ないが、私服で大きなボストンバッグをぶら下げていたら、大抵の場合は、旅行者だろうと見られるのではないかと思うのだが・・・・
いずれも、地元の人間ではなく出張で来ているので地理が分からないと言って、丁重にお断りしたのだが、相手の意外そうな表情が、むしろ私にとって意外だった。

作品名:一人旅の勧め 作家名:sirius2014