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一人旅の勧め

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怪しい隣人


私がまだ30歳代で、勤務先で配属されたIT系の部署で、ITのインフラ回りを担当していた頃の話だ。
当時、地方の工場や支店・営業所などでのネットワーク障害で、突然の出張が入ることが珍しくなかった。
ある日、大阪支店でネットワークが接続できなくなり、現地の担当者に電話で状況を確認した。しかし、現地の担当者と言っても多少ITに詳しい営業マンの一人に過ぎず、結局障害の一時切り分けすらできないため、やむを得ず急遽現地に赴くことになった。
今となっては記憶があやふやで理由がはっきりしないが、『のぞみ』ではなく『ひかり』に乗ったと思う。半端な時間だったため、自由席はスカスカで二人掛けも三人掛けも誰も座っていないシートがたくさんあった。
私は二人掛けのシートの窓側の席に座って発車を待っていた。すると、発車時間ぎりぎりに一人のスーツ姿のサラリーマン風の男が車両に入って来て、いきなり私の隣に座った。誰も座っていない二人掛けのシートが他にいくらでもあるにも拘わらず。
私は発車したら眠ろうかと思っていたが、その男の行動を怪しいと感じ、眠るのをやめて男に対して警戒を解かずにいた。
結局その男は、東京駅を出てすぐ次の停車駅である新横浜駅で席を立ち、車両を出て行った。(当時はまだ品川駅には停車しなかった)車両から出て行ったが、降車したかどうかは確認できなかった。
あの男は『掏摸』だったのではないかという疑いを捨てきれずにいる。私に狙いを定めたが、スキが無さそうなので、別の獲物を探すために席を立ったのではないか。
その数年後、名古屋に出張に行かせた部下が、名古屋駅で新幹線を降りたら財布がなくなっていたことがある。
昔の新幹線には、『掏摸』がけっこう乗っていたのではないだろうか。

作品名:一人旅の勧め 作家名:sirius2014